SOLA TODAY Vol.594
最近は『安定』という言葉が、『不安定』と同義語になっている感がある。これまで安定だと信じられてきたものが、自らの不安定さを露呈するようになってきた。真の意味で『安定』していると言えるのは、現代社会は『不安定』だということだろう。
そのことを象徴するのが銀行。安定企業の代名詞のようになっていたが、もはやそんな時代ではなくなってきた。
少し長いけれど、とてもわかりやすい記事。冒頭はこんな言葉で始まる。
「約100人の同期のうち、すでに50人ほどが銀行を去りました」
そう語っているのは有力地銀で8年目になる30歳の男性。銀行の未来に不安を感じた同期たちは、安定を求めて転職したそう。転職先は公務員が圧倒的で、銀行が沈みゆく泥舟であることが象徴されている。
銀行の人員、店舗、さらに預金までがダブついているらしい。メガバンクでは大規模な人員削減が行われているが、それでも追いつかないほど人が余っている。そもそも銀行の窓口に訪れる人が極端に減っているから。
スマホやネットの普及で、わざわざ店舗に行く必要がなくなってきた。25日や月末にATMで行列を作っている人は、ある意味時代に取り残されつつある人たちだろう。ましてや銀行の店内は常にひっそりとしているらしい。そりゃ人は余るはず。接客する相手が減っているんだからね。
さらにこれまでの銀行の収益システムが崩壊している。預金者からお金を集めて、それを法人や個人に貸し出す。その金利で収益をあげていたけれど、今ではほとんど価値のない業務になっているとのこと。
ゼロ金利が続いていて、とても収益を出せるような状態じゃない。メガバンクでさえ国内の有力企業に融資する利ザヤは、わずか0.49%だけ。つまり1億円を貸しても、企業の利益としては49万円にしかならない。
これでは貸すだけで損になってしまう。だけど銀行には現金がだぶついている。そのほとんどが元本保証をしている預金なので、思い切った投資ができない。もっと投機的なお金を顧客から集められたらいいけれど、そんな人は銀行に投資する時代じゃなくなっている。
追い討ちをかけているのが、仮想通貨を構成しているブロックチェーン。これまで銀行が中央集権システムで管理していたお金の流れが、ブロックチェーンという分散システムによって破壊されつつある。銀行という仲介者が存在しなくても、世界中の人が個人同士で直接取引できてしまうから。
そんな未来が見えている人にとって、銀行に留まっているほうが不思議だよね。今年の4月に新社会人として銀行に入った人のなかで、未来に不安を感じて頭を抱えている人は多いだろう。だけどそれは、正常な反応だと思う。
近い将来、銀行という組織は様変わりするはず。淘汰されて消えて行く銀行も多数出ると思う。今まで顧客が銀行に求めていたものは、他のシステムで代替可能になっている。まったく新しい事業形態を構築しない限り、銀行に未来はないような気がする。
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