完璧な必然が、清々しい
今日は引きこもりで、明日は外出の予定だった。だけど天気予報によると、明日の神戸の日中は大雨らしい。ということで急きょ予定を変更して、今日を外出日にした。これで月曜日と火曜日の引きこもりが決定。腰をすえて、じっくり仕事をしよう。
ボクは人間に自由意志はないと思っているので、今日のようなことも必然だと思っている。頭で考えている予定が変わるとき、抗いようがないということ。自分で決めたように思っていても、何かに動かされているんだと考えている。
だから変化というものは、川の流れと同じ。そのまま流れに乗っていれば、スイスイと先へ進むことができる。だけど自分の理想や想いとちがうからといって、流れに逆らうとしんどいことになる。泳ぎ疲れてヘトヘトになって、多少は水を飲むだろう。だけど結果として同じところに流れ着く。それなら流れに任せておいたほうが楽ちんだものね。
ところがその必然が、命に関わるものだとそう簡単にいかない。あなたは明日死にますよ、と言われたとしよう。身体に痛みはないし、食欲だってある。なのに明日までの命と言われたら、まちがいだと思うか、運命を変えようと必死で抵抗するだろう。そんな主人公のドタバタを描いた映画を観た。
『ノウイング』という2009年のアメリカ映画。ニコラス・ケイジが主演しているけれど、ボクは未見だった。いわゆるディザスター・ムービーと呼ばれるもので、人類滅亡がテーマになっている。
50年前のある小学校で、タイムカプセルが埋められる。教師から未来を想像した絵を描きなさいと言われたのに、ルシンダという不思議な雰囲気を持つ少女は、紙いっぱいに数字の羅列を書いた。教師は驚くが、そのままタイムカプセルに封じ込まれる。
50年後にタイムカプセルが取り出され、ケイレブという少年が、ルシンダの残した数字の羅列を手に入れる。何かのメッセージだと直感したケイレブは、こっそりと自宅に持ち帰る。それを見た父親のジョンは、あることがきっかけでその数字の秘密を知る。
それは過去に起きた大惨事の日付、死者数、そして位置情報が書かれたものだった。911もあれば、ジョンの妻が命を落とした火災まで書かれている。そしてこれから起きるであろう大惨事も書かれていた。
ジョンも最初は疑っていたが、目の前に旅客機が墜落して、予言されていた通りの人間が死ぬという事実を突きつけられる。次の予言はニューヨークだった。テロだと直感したジョンは、なんとか阻止しようとニューヨークに向かう。
だけど起きたのは地下鉄の脱線事故で、100人以上の犠牲者が出る。
そして最後に書かれている予言。
そこには位置情報がない。つまり地球全土で起きる。それは人類の滅亡を意味していた。映画のラスト近くでは、人類滅亡を避けようとするジョンが奔走する。運命なんて信じないMIT の教授であるジョンだけれど、やがてその運命が避けられないことを知る。
50年前のルシンダにメッセージを送ったのは異星人だった。さらにジョンの息子のケイレブも、同じメッセージを受信している。ネタバレになるけれど、結論から言えば、メッセージを受信している人間だけが、人類の再起を期して宇宙船に保護されることになる。それはほんのひと握りだけ。
つまりそれ以外の人類は、太陽フレアの暴走によって滅亡する。自分の運命を受け入れたジョンは、確執のあった父と和解し、人類滅亡を受け入れる。
ラストでニューヨークが破壊されるシーンは、とても恐ろしくて凄まじい。だけどボクは、なぜだか清々しさを感じた。地球に残っている人間は誰も逃げることができない。老若男女に関係なく、金持ちであっても貧乏であっても、さらに善人も犯罪者も関係ない。
すべての人間が平等に公平に、一瞬で消滅する。そのシーンが無性に心地良かった。賛否両論のあるラストだろうけれど、こんなことを感じるボクは変人なんだろうねwww
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
