こんなすごい人がいたなんて!
今日は予定変更。天気が下り坂なのは知っていたけれど、雨雲レーダーを見るとかなりヤバい。大雨になるのは確実なので、買い物に出るのは諦めて、自宅にあるもので食事を済ませることにした。
基本的に買い置きしないので、状況によってはどうしようもないときもある。でも今日はなんとかなりそうだったので、思い切って外出をやめた。
どうやら大正解だったようで、午前中にはかなりの雨が降った。そして夕方になっても、その勢いは衰えない。どっちみち明日は歯科検診なので、外出するからね。明日は晴れそうなので、ほっとしている。
さて、昨日紹介した映画は、アメリカの『マッカーシズム』に関する作品だった。単なる偶然なんだけれど、驚いたことに次に観た映画も、アメリカの赤狩りをテーマにした作品だった。
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』という2015年のアメリカ映画。まったく予備知識なしで観たけれど、めちゃめちゃ面白い。特にクリエイティブな仕事をしている人は、観るべきだと思う。作品を創造するということに関して、強烈なメッセージが込められている。
ダルトン・トランボという脚本家を知っているだろうか? ボクは知らなかった。
だったら、次の映画のタイトルは聞いたことがあるはず。
『ローマの休日』
『素晴らしき哉、人生!』
『黒き牡牛』
『スパルタカス』
『栄光への脱出』
『ジョニーは戦場へ行った』
『パピヨン』
『ダラスの熱い日』
なんとこの作品の脚本を書いたのが、このトランボという人。有名な作品でこれだけある。実際にはもっと多い。すごいラインナップだよね。
そして『ローマの休日』と『黒い牡牛』では、アカデミー脚本賞を受賞している。ところがその受賞名は架空の名前で、授章式にも出席していない。なぜなら彼の名前を出すことができなかったから。
トランボはアメリカの共産党員だった。破壊活動やスパイをしていたわけじゃない。ただ共産主義に感銘を受けただけ。ところが赤狩りでブラックリスト入りして、聴聞会で思うままを言ったことで刑務所送りになる。
そして出所後もブラックリストに名前が残っていたので、仕事をすることができなかった。だけどそれでは家族を養っていけない。そこで偽名を使って、脚本を売ることにする。その代表が『ローマの休日』
才能のある作家だから、書けば脚本は売れる。風呂のなかでも原稿を書いていた。最終的に名前を明かすことを決意する。これ以上本人も家族も耐えられなかったから。その手助けをしてくれたのは、俳優のカーク・ダグラスだった。ボクの大好きな俳優さん。
結果的にトランボが名前を公表したことで、ブラックリストがなんの意味もないことを誰もが思い知る。いい作品に、イデオロギーは関係ない。最終的にケネディ大統領が彼の作品を称賛したことで、赤狩りが終焉に向かったとのこと。いや〜、本当にすごい映画だった。
トランボを演じたブライアン・クランストンという俳優さんは、知らない人だった。だけど本当のトランボにそっくり。トランボの妻役を演じたダイアン・レインが最高に良かった。そして娘役を演じたエル・ファニングも、この映画を素晴らしいものにしているひとりだと思う。
そして、トランボを追い詰めるヘッダという実在の女優を演じてヘレン・ミレンも、本当に憎らしく感じるほどの演技だった。こんなすごい脚本家がハリウッドにいたんだね。この映画は、かなりオススメだよ!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。