異世界に潜むサイコパス
今日のスーパーで初めて万引きを見た。少し腰の曲がった年配の女性が、スーパーのカートもカゴも持たず、持参した自前のカートで買い物をしていた。まぁ、それはいいだろう。
だけど手にした商品を、ポイポイとそのカートに押し込んでいる。そして同じ場所を何度も行ったり来たりで、かなり挙動不審。少し気にして見ていると、視線を避けるように移動する。どう考えても万引きに見えたので、行動を観察していた。
人目を気にしつつ、不規則に場所を移動する。そして最初は商品を手にしているけれど、人目がない場所に行ってから、すっとカートに放り込む。あまりに気になったので、店長さんにそっと耳打ちして事情を話しておいた。とりあえず店を出るまでは、万引きとは言えないから。
それでボクたちも買い物をしながら、その女性がレジに並ぶのを遠目で見ていた。すると自前のカートから2〜3の商品を出して精算している。でもカートに放り込んだのはそんな程度じゃない。おそらくそのまま店外へ出るつもりだろう。
それ以上関わるつもりはなかったので、最終的にどうなったかは知らない。店長さんは、注意しておきますと答えていたので、善処されているだろうと期待している。明らかに犯罪だからね。マジで気分が悪かった。
人間の心の闇を目の当たりにして、なんとも言えない気持ちだった。あの女性の人生に、今までどんなことがあったんだろう? マジでそんなことを考えてしまった。最近の万引きはお金に困っているというより、犯罪を行うこと自体が目的になっていると聞いたことがある。見つかるかもしれない、という緊張感を覚えることによって、生きていることを実感する人がいるらしい。ある種の依存症なんだろうね。
どんな人間にも、それなりに闇の部分がある。だけど普通は社会生活に適応して、なんとかコントロールしている。だけど心のバランスをどこかで崩してしまったとき、表出する心の闇を止めることができなくなるのかもしれない。
そんな人間の闇を描いた、恐ろしい小説を読んだ。
『ブラック・ハウス』上巻 スティーブン・キング、ピーター・ストラウブ 共著という作品。
何気なく図書館で手にした本だけれど、とんでもない作品だった。アメリカの田舎町で、3人の子供が行方不明になる。やがて遺体で見つかるが、バラバラに切断した状態で見つかる。さらに遺体の一部が食べられている。まるで『ハンニバル』の猟奇世界。
困り果てた地元の警察署長が、ジャック・ソーヤーという友人に捜査を依頼する。元LA市警の刑事で、数々の難事件を解決している。この上巻では4人目の子供が行方不明になり、固辞していたジャックがようやく本腰を入れて捜査に関わるところで終わっている。
ジャックが捜査することを決めた理由がとんでもない。彼は幼いころにこの世ではない異世界を出入りすることができた。そして過去にその世界に出入りすることで、事件を解決している。どうやらこれは続編で、この物語以前のエピソードが先に出版されている。
今回の連続殺人犯が、その異世界に関わっていることを知る。それでジャックは捜査を手伝うことにした。自分ならその世界に入ることができるから。異世界に潜むサイコパスは、そのことを知ってジャックに挑戦状を送りつけてきた。さて下巻はどうなるのか? 気になって仕方ない。
下巻も借りているけれど、少しだけ時間を置いて読むつもり。なんせ長い小説で、上巻の文庫本だけで600 ページを超える。一度頭をクールダウンしてから、下巻に取り組もうと思っている。今のところ、その異世界がどんなものかさえわかっていない
ついでにこの物語の前作も図書館でチェックした。読む順番は逆になるけれど、この作品のあとに読んでみようと思う。すっかりスティーブン・キングにハマってしまった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。