本物のロッキー
新作小説は3回目の推敲に入った。3回目はプリントアウトしてチェックしているので、妻にも読んでもらっている。面白いと言ってもらえたので、とりあえずほっとした。エンディングも驚いてくれたので、まずまずかな。
明日中に3回目の推敲を終えて、もう一度パソコンの画面で4回目の推敲。妻が見てくれた分を足したら、5回分推敲したようなもの。これでなんとか今月中に完成させることができそう。
今日の昼間は激しい雨が降っていたので、自宅で仕事をするのにちょうど良かった。明日はそこそこいい天気になるようなので、買い物を兼ねて散歩すればいい気分転換になるだろう。
さて、映画鑑賞も大切な仕事のうちなので、今日も素晴らしい映画を鑑賞した。
『傷だらけの栄光』(原題:Somebody Up There Likes Me)という1956年のアメリカ映画。実在したボクシング世界ミドル級のチャンピオンだった、ロッキー・グラジアノの生涯を描いた作品。シルベスター・スタローンが主演した『ロッキー』は、この選手に対するリスペクトとして作られている。ロッキーの原点だと言っていい。
このロッキーをポール・ニューマンが演じている。彼にしては2度目の映画作品で、実質的なメジャーデビューと言える作品。彼がブレイクした『ハスラー』はまだ5年先。だからこの映画のポールは、めちゃめちゃ若い。
本当はジェイムス・ディーンの出演が決まっていたらしい。だけど撮影前に事故死してしまったので、急遽彼に白羽の矢が立ったとのこと。実際のロッキーのしぐさや言葉づかいもかなり研究したそう。もちろん肉体もトレーニングしているようで、腹筋が見事に割れていた。
驚いたのはスティーブ・マックイーンが、ロッキーの友人役で出演していたこと。この映画がデビュー作らしく、クレジットに名前さえ乗っていないチョイ役だった。だけどオーラがあったよな。すぐにマックイーンだとわかった。
とにかくめちゃ面白い映画だった。ニューヨークの貧しい地域で生まれ、犯罪者として生きるしかない。ロッキーはそんな少年たちのリーダー格で、刑務所に入ったのは1度や2度じゃない。もしボクシングと出会わなければ、刑務所暮らしになるか、誰かに殺されていただろう。事実彼の友人は、ほとんどそうなっている。
彼を救ったのはボクシングだけじゃない。妻のノーマがいなければ、彼は世界チャンピオンになることはできなかったかもしれない。順調に勝ち進んで、財産も築きつつあった。かわいい娘も生まれている。ロッキーはボクシングを通じてまっとうに生きようとしていた。
そんなとき刑務所で知り合った人間により、八百長試合をもちかけられる。はっきりと断ったが、検察に呼び出しをくらう。持ちかけた人間を明かさなければ、プロボクサー免許を剥奪すると言われた。
それでもロッキーはその人物の名を言わなかった。結果的に免許を剥奪される。だがそんなどん底の彼を救ったのはトレーナー、故郷の友人、そして妻のノーマだった。そして再選のチャンスを得て、見事世界チャンピオンになるという結末。
実話だけに説得力があるし、大逆転でチャンピオンになるシーンはめちゃ興奮した。ボクは『ロッキー』という映画が大好き。最高のボクシング映画だと思っていた。だけどこの映画がその座を奪ったかもしれない。本当によくできた作品だった。
ポール・ニューマンにチャンスが訪れたのは、ある意味必然だったように感じる。それほどロッキーの役はピッタリだった。ちなみにノーマ役を演じたピア・アンジェリという女優さんが、めちゃ綺麗だった。こんな素敵な女優さんがいたんだね。わずか39歳で亡くなっているのがとても残念。もっと別の役を演じる彼女を観たかったなぁ。
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