正体はワンネスだった
今朝目覚めると、うっすらと陽が差している。午前中はまだ雲が多く、ときおり雨がパラつくこともあった。でも午後からは青空が久しぶりに存在感を主張してくれた。
ずっと雨が続いていたので、とにかくほっとした。かなり気温が上がっていると思うけれど、それさえ嬉しく感じてしまう。太陽が照りつけると蝉が可愛い鳴き声を聞かせてくれる。あぁ、やっと梅雨が終わったという気持ちになれた。
だけどニュースを見ると、広島や岡山の被害はひどい。今も孤立している人たちがいるし、行方がわからない人も多い。そして死者の数は増えるばかり。もしかしたら亡くなった人は100人を超えるかも。大惨事になってしまった。
これだけ科学が進歩しても、人間は自然に対して本質的に無力だと感じてしまう。今日の午後には、久しぶりに大阪の地震の余震もあった。千葉でも大きな地震が続いている。台風8号はとてつもなくデカイ勢力らしい。被害に遭わないよう、できる限り自衛するしかないんだろうね。
さて、楽しみにしていてたファンタジー小説を読み終えた。
『タリスマン』下巻 スティーブン・キング、ピーター・ストラウブ共著という小説。
物語の主人公はジャック・ソーヤという12歳の少年。母が末期ガンに冒されていて、余命いくばくもない。その母を助ける方法は、『テリトリー』と呼ばれている異世界に行くこと。そのテリトリーには女王がいて、同じく死に瀕している。
ジャックの母と女王は、分身者(ツイナー)という関係で、運命を共有している。女王と母の命を救うためには、『タリスマン』を探し出して持ち帰らなくてはいけない。それはテリトリーと現実世界を行き来するということ。上巻ではその旅がスタートしたところで終わっていた。
下巻では旅が終結して、タリスマンを発見する。そして女王を死に追いやっていた悪党も、ジャックが殺してしまう。ファンタジーなので、結論はハッピーエンドになる。ホラー小説じゃないからね。
ボクがずっと気になっていたのは『タリスマン』とは何か? ということ。その事実を知ってびっくり仰天した。
この物語では現実世界とテリトリーの2つしか出てこない。だけど世界はもっと多層的で、テリトリー以外の異世界が無限大に存在する。つまり自分のツイナーも無限大にいることになる。
ところがジャックは『単身者』だった。彼のツイナーはテリトリーで女王の息子だった。だが悪の手にかかり、幼いころに殺されている。同時に他の異世界のツイナーも命を落としていた。ジャックはツイナーを持たない存在だった。だからタリスマンを見つけることができた。
なぜならタリスマンとは、無限大の異世界のすべてだったから。たったひとつの『在る』ものであり、ワンネス意識だった。まさかここでワンネスが出てくるとは思わなかったのでビックリした。共作とはいえ、まさかスティーブン・キングの小説にワンネスが出てくるとは思いもしなかった。
最高に楽しい物語だった。アメリカ大陸を西の端からスタートして東の端まで向かう。そして目的を果たして、もう一度西まで戻ってくるという物語。ボクはトールキンの『指輪物語』を思い出した。
この小説にも『指輪物語』のことが少し出て来たので、作者たちにトールキンに対するリスペクトの想いがあるんだと思う。トールキンの大ファンとしては、これほど楽しい小説はなかった。
これで続編の『ブラックハウス』も含めて、この二人の共作を読了。このあとはテリトリーに潜む悪の世界を描いた『ダークタワー』シリーズが待っている。これはスティーブン・キングの小説になる。かなり長いシリーズになるので、全作を読み終わるのはかなり時間がかかると思う。だけど絶対に読了してやるぞ!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。