SOLA TODAY Vol.681
物語の役割は読む人が登場人物に共感することで、自分の人生問題に向き合う勇気や知恵が持てたり、未知の世界を既知にすることで経験値を高めることだと思っている。そしてその役割は、人類が存在する限り消えることはない。
だけど時代とともに媒体は大きく変化している。とてつもなく長い期間『紙』の時代が続いてきた。物語のすべてが『本』という媒体を通じて世界中へ発信されてきた。その媒体をさらに突き詰めると、『文字』というものになる。
でも時代は『文字』から『映像』に移行している。若い世代は漫画のセリフさえ読むことがなくなり、アニメによって物語を体験している。
『文字』の時代は終焉を迎えたのだろうか? もしそうだとしたら、書き手にとって死刑宣告に等しい。
しかし『文字』がまだ終わっていないことを、世界の動画業界を牽引しているグローバル企業が行動で示している。
動画供給サイトとして世界を席巻しつつあるNetflixが、出版業界に触手を伸ばしているらしい。すでにアメリカで2社の出版会社と契約をすませている。
Netflixは映画会社が配給した作品を提供するだけでなく、自社コンテンツの制作に主眼をおいている。その成果はすでに出ていて、Netflixオリジナルのドラマがエミー賞の候補にノミネートされるようになった。
つまり『ネタ』が欲しいということだろう。映画やドラマを制作するうえで、現代でもほとんどが小説や漫画の原作を元に映像化されている。最終的に『物語』を体験するのは『映像」だとしても、その大元は『文字』からスタートしている。
だから出版ビジネスに参入することで、どこよりも早く映像化の権利を取得しようと目論んでいるのだと思う。そして『映像』がヒットすると、原作も売れることになる。そうすれば書籍からの利益もゲットすることができる。
書き手としては、『文字』がまだ生きていることに興奮する。市場として競争は厳しく、今までのように『本』単体としては売れないだろう。だけど魅力的なコンテンツを創作すれば、自分の書いた『文字』が『映像』に変容する。
映画やドラマの原作として、『文字』で書いた物語をこの世に残していくことができる。もちろん映像化には、それが映画であってもアニメであっても多額の費用が必要になる。つまり『売れる』ものでないと『映像』にならない。それだけに競争は熾烈なことになる。
でも『文字』が消えてしまうわけじゃない。物語を『文字』で編み上げることで、大勢の人を感動させることができる道は残されている。とても厳しい道だけれど、ボクはその道を進んでいく。
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