ゾンビに課税する国税庁
待ちに待った日が来た。日本時間の昨日になってようやく解禁になったものがある。
このジャケット写真反対じゃないからね。アリアナ・グランデの2年ぶりのニューアルバムである『Sweetener』という作品がリリースされた。通算して彼女の4枚目のアルバムになる。
このアルバムから、『 no tears left to cry』、『the light is coming 』、『God is a woman』という3曲が先行リリースされている。この3曲はすでにヒットチャートの上位に食い込んでいるので、ボクも数えきれないほど聴いている。
そしてようやく全曲公開となった。昨日から今日にかけて、もう3度も聴いた。現代のアメリカのポップシーンで、彼女を超える歌唱力を有する人はいないと思う。それほど歌がうまい。このアルバムの1曲目にアカペラ曲が収録されているけれど、鳥肌が立つほどすごい歌唱力。
3度聴いただけなので、まだまだこれから聴き込んでいく。でも今の段階でも、彼女の魅力満載のアルバムだと断言できる。しばらくヘビロテ入りに決定!
さて、めちゃめちゃ笑いながら、どこか恐ろしいという小説を読んだ。
『錆びた太陽』恩田陸 著という小説。『蜜蜂と遠雷』という最高傑作で直木賞を受賞した恩田さん。この作品は直木賞受賞後の長編第1作になるとのこと。
かなり変わった物語で、物語のほぼ全般において、人間は一人しか登場しない。つまり、それ以外の登場人物は人間じゃない。
主人公はボスと名付けられたロボットと、その部下の6体のロボット。そして貴重な脇役として登場ずるのがゾンビ。これだけでも笑えてくる。
舞台は近未来の日本。原発事故で日本では原発反対運動がさかんになる。そしてテロリストが原発の完全撤廃を要求してテロを起こす。それによっていくつも原発が爆発され、関東の一部が管理区域となって人間の立ち入りができなくなる。
そこで放射能の除染、さらにその後の管理区域の治安維持のため、ロボットたちが開発されて常駐している。その理由は、何万人という人間が放射能を浴びてゾンビになってしまったから。ゾンビたちは人間を見つけると、襲いかかってバラバラにしてしまう。
ところがその影響で、日本の財政は逼迫していた。このままでは日本は経済破綻してしまう。そこでゾンビに課税することを国税庁が思いつく。管理区域に派遣されたのは、財護徳子という20代の国税庁職員。この女性のキャラが、もう面白すぎて大変。
3日間だけの限定で、ゾンビに課税できるかどうかを調査するらしい。ロボットたちはその協力をすることになる。だけどその過程で、思いも寄らない政府の陰謀が明らかになる。
財政破綻しそうな日本政府は、管理区域をゴミ捨て場にすることにした。普通のゴミじゃない。世界各国の放射性廃棄物を引き取って、その管理料を徴収しようとしていた。どうせゾンビしかいない地域なので、核のゴミ捨て場にすればいいと考えた。
ところがゾンビたちは知性を持っていて、放射線にも耐性を持っている。彼らを研究すれば、人間は放射線に関して新しい知識を得ることができる。でもソンビたちは人間に対して復讐心を持っていて、大規模な破壊活動を計画していた。このままでは管理区域は核のゴミ捨て場になるだけでなく、ゾンビたちも皆殺しにされてします。(すでに死んでいるけれどwww)
そこでロボットたちと財護徳子は作戦を練る。果たして政府の陰謀を阻止できるのか? ゾンビたちを助けることができて、財護徳子は彼らに課税することができるのか?
とにかくめちゃ弾けた小説だった。笑いながらも、実はとんでもなく恐ろしいテーマを扱っている。原発問題をまったく別の角度から取り上げた、素晴らしい小説だった。
まだ去年の作品なので、結末が気になる人は本を手に取ってこの世界を体験して欲しい。笑いながらも恐怖に震えると思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。