テロに屈しないという決意
「けなすと改善する」という法則はまだ効力が残っているらしく、今日のMacBook Airもすこぶる快調。まったくバッテリーに不安を持つことなく、仕事をこなすことができた。このまま使えたらいいんだけれど。
そして昨日は映画もけなしたせいか、今日はめちゃめちゃ素敵な映画を観ることができた。この映画まだ未見の人がいたら、ぜひ観たほうがいいよ!
『パトリオット・デイ』(原題: Patriots Day)という2016年のアメリカ映画。
2013年、ボストンマラソンの最中に起きた爆弾テロを覚えている人は多いだろう。爆発の瞬間を記録した衝撃的な映像が世界中に配信された。この爆弾テロの犯人は、わずか102時間後に逮捕されている。この映画は、事件が起きてから犯人が逮捕されるまでの過程が描かれた作品。
ボクはこの写真に出ているミシェル・モナハンが大好きで、彼女目的でこの映画を観たようなもの。ところが映画が始まったとたん、そんなことはすっかり忘れてしまった。
主演はマーク・ウォールバーグで、トミーというボストン警察の巡査部長を演じている。彼の姿を見ていると、ぬいぐるみの『テッド』が腰をふって出てきそうな気がする。でもそれは最初だけだった。
ボストンマラソンの警備についたマークは、すぐ近くで爆破を目撃する。一瞬で華やかな世界が血の海に染まる。大勢の人が逃げまどい、誰かのちぎれた足が歩道に放置されている。もうボクの頭に『テッド』を登場させることはできなくなった。
この直後から、全ボストンが、いや全米が力を合わせる。FBIの主導のもと意見の衝突を繰り返しながらも、ボストン警察だけでなく、州知事、市長までもが犯人逮捕に全力で突き進む。彼らの執念が、この映画の中盤で痛いほど伝わってくる。
新しい映画なのでネタバレはしないけれど、後半の犯人逮捕に至るまで息を飲むシーンの連続だった。犯人に射殺された警察官、この事件の被害に遭った人、目撃した人、犯人の友人、犯人に拉致されつつ逃げ出して通報した人、犯人の一人を取り押さえた初老の警官等が、爆破事件の前に見事に配列されている。
爆発を合図にするかのように、それらの人たちが自分たちの運命に直面させられる。そしてラストになってそれらの運命が完璧につながっていく。テロの怖さをリアルに感じつつ、警察関係者が犯人逮捕に向けてどれだけ命をかけたかを知ることができる作品だった。
おそらく映画なので、少しは内容を盛っているだろうと思っていた。だけどあとから調べてみると、ほぼ事実どうりに映像化されている。よく撮影したなぁ、とマジで感心してしまった。
映画のラストに、登場人物本人たちが登場する。爆発で片足を失った若い男性が義足でマラソンに挑戦していた。そしてゴールしたとき、同じく片足を失った妻が笑顔で出迎えていた。もうそれだけ胸がジンして、涙で映像がにじんでしまう。
恐ろしいテロだったけれど、それに屈しないというアメリカ人の決意を感じた作品だった。登場人物の一人が言う。「恐ろしい悪意に勝つには愛しかない」と。そのことをまっすぐに証明してくれる作品だと思う。
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