SOLA TODAY Vol.733
イメージを形あるものにして伝えるのが芸術。小説家はイメージを文字に、画家はイメージを絵画に、映画監督はイメージを動画にする。方法は違えども、誰もが作者の心にあるイメージを形にしようとしている。
ボクがもっとも尊敬する小説家は、J.R.Rトールキン。説明するまでもなく、『指輪物語』という偉大なる作品を残した作家だ。トールキンも彼のイメージを物語につづったことで大作を生み出している。ただ彼の場合、その方法が普通じゃない。
『指輪物語』を読んだことがある人なら、あの作品の『中つ国』が現実に存在する世界だと錯覚するはず。エルフ語なんて、実際に言語として使うことが可能なほど考えられている。そしてボクたちの錯覚を推し進めるものとして、詳細に書かれた地図がある。
ボクはこの物語を数えきれないほど読んでいるので、この地図がおおよそ頭に入っている。だから地名を聞けば、どのあたりのことを指しているかすぐにイメージできる。この『指輪物語』以外にこの世界が書かれた物語もあるので、すべて読破したボクにとって、『中つ国』は現実とさほど変わらないほどリアルに存在している。
その理由がこの記事を読むとよくわかる。少し古い記事なんだけれど、トールキンのスケッチが発見されたらしい。リンク先の記事にその写真がアップされている。それらの詳細なことにマジで驚く。一人の人間のイメージから出てきたものだと思えない。
小説家はイメージを文字にする。ストーリーの箱書きを書く人がいたりするが、どちらにしても文字情報が中心になる。だけどトールキンは文字を書く前に、その世界の地図を描くらしい。そうしないと物語が同期できないと述べている。
彼が出版社に送った手紙では、「地図からスタートし物語を適合させる」と明言しているらしい。だからまず地図を描く。そしてその物語に登場する建造物のイラストを描く。その街をスケッチする。
その地図には、登場人物がどのようなルートをたどるかまで記されている。ここまでくると、もうノンフイクションだと言ってもいいかもしれない。そしてようやく文字にするという行程に入る。
『指輪物語』が大勢の人の心をとらえて離さないのは、ここまで徹底して物語の世界を構築しているからだろう。ボクは何度読んでも、突っ込みどころを見つけらられない。むしろ読むたびに、トールキンの魔法にかかってしまう。もしかしたらガンダルフは、著者をモデルにしたのかもねwww
トールキンのようなことは、とてもボクにはできない。だけどいつか架空世界の物語を書くつもり。そのときには、地図を書いてみよう。この記事を読んで、真剣にそう思った。
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