いいね、ママさん俳優！
まだ今日になっても、平年より気温の高い日が続いている。でも明日の午後から雨が降って、そのあとは冷たい空気が入ってくるらしい。いよいよ秋が深まりそう。
新作小説は、まだ本編のバックストーリーを考えている段階。自分で言うのもなんだけれど、かなり面白そうな予感がする。バックストーリーやサブストーリーというのは、とても大切なものだと思う。物語の奥行きや幅を広げるものだからね。
今日観た映画も、本編では触れていないサブストーリーに深みを感じる作品だった。主人公のこれまでの人生に、つい思いを馳せてしまう。そうさせるのは、脚本がしっかりしているからだろうね。
『アイアン・ソルジャー』（原題：Fort Bliss）という2014年のアメリカ映画。なんとボクのイチオシ女優であるミシェル・モナハンが女性兵士を演じている。
なかなか切ない作品だった。主人公のマギーは、陸軍の衛生兵。映画では簡単にしか触れていないけれど、彼女が勤務で忙しいことが理由となって、浮気をした夫と離婚している。二人にはポールという５歳の息子がいる。
だけどアフガニスタンへの派遣を命令されたマギーは、ポールを元夫に預けるしかない。そして15ヶ月という任期を終えて戻ってくると、息子は他人のようになっていた。夫の婚約者であるアルマを母のように思ってなつき、連れ帰ろうとするマギーに激しく抵抗する。
どうにかマギーとポールの２人の生活が始まるが、マギーにとって苦難の連続だった。アルマに会いたい、と泣き叫ぶ息子と必死に向き合おうとする。そしてようやく時間をかけて、母と子の絆を取り戻す。
ところが物語というのは、主人公をいじめるためにある。マギーに再びアフガニスタンへの派遣命令が下る。また息子を置き去りにしてなくてはいけない。
葛藤したすえに、マギーが決断したこととは？
まだ比較的新しい作品なので、続きを知りたい人は映画をどうぞ。日本でもシングルマザーとして、仕事と子育てに奮闘している人は多い。あくまでも兵士として映画は描かれているけれど、この葛藤はどんな職業の女性にも当てはまると思う。
「仕事に打ち込む男はほめられるのに、女が同じことをすると母親として失格だと責められる」と元夫に言ったマギーのセリフが切ない。彼女がそこまで自分の仕事に打ち込むのは、天職だと感じる悲惨な出来事がアフガニスタンであったから。
もちろんもっとも気の毒なのは、息子のポールであることはまちがいない。仕事か子供か、という究極の選択にマギーは必死で答えを出そうとする。この難しい役を、ミシェル・モナハンは体当たりの演技で好演している。今まで彼女の作品を数多く観ているけれど、このマギー役は最高だと思う。
兵士であり、母親であり、そして女であることを、ありのままに演じている。そのどれもがすごい。いい女優さんだと思っていたけれど、この映画でさらにボクの評価が高まった。
私生活では２児のとなり、もう出産もないだろうから、これからますます役者として突き進むことができると思う。そういえば、ボクの好きな女優さんは、すべてママさん俳優だわ。
エミリー・ブラントもアン・ハサウェイも、ここ数年でママになっている。子育てが落ち着いたら、俳優業に専念できるよね。きっとこれからも素敵な映画を観せてもらえると信じている。いいね、ママさん俳優！
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
