SOLA TODAY Vol.744
『死』は台風のようにじわじわとやってきたり、地震のように突然襲いかかってきたりする。重い病気で前もってわかっているのも辛いが、事故や急病でいきなり身近な人の死を経験するのも辛い。どちらがいいとは言えないが、後者のほうがあわてふためくのはたしかだと思う。
いきなり夫の死を経験した人の記事がある。
夫がまだ若く、亡くなった当時は42歳だったとのこと。著者の妻も仕事をしていて、前日は彼女の帰宅が遅くなり、夫が先に眠っていたらしい。翌日朝6時に起きた妻は、夫が寝ているのであせった。
夫は7時には家を出て、海外出張に行かなければいけない。「遅れるよ!」と夫を起こしたが、なかなか目を覚まさない。近づいてダラリとたれた手を見たとき、妻は愕然とした。紫色の死斑が出ていたから。
パニックになった妻がとっさに思ったのは、「私が殺した?」というありえないものだった。それほど気が動転していたということだろう。すぐに救急車を呼んだが、駆けつけた救急隊員はすぐに警察に連絡。いわゆる変死として、警察の捜査対象となった。
それがどれほど大変なのか、ひとり暮らしだった親戚が亡くなったとき、第一発見者となった母から聞いた話でボクも知っている。病死であることが証明されるまで、他殺の可能性があるから。
この著者もいきなり警察から棺おけを用意するように言われている。葬儀屋と相談して、警察から連絡があったら夫の遺体を引き取りにきて欲しいとのこと。ただでさえパニックになっているのに、解剖されて傷だらけになった夫を迎えに行くのは辛かっただろうと思う。
死因は特定できなかったが、結論から言えば過労死だったそう。著者の夫は海外を飛び回るような仕事をされていて、相当な激務だったらしい。そのあたりの会社との不快なやり取りも、記事には書かれている。
この記事を読んで思ったけれど、決して人ごとじゃない。特にボクたち夫婦のように子供がいない家族は、最終的にはどちらかが、どちらかを看取らなければいけない。そしてそれが病院であるとは限らないし、20年先ではなく明日かもしれない。
人間が一人死ぬと、事務的な手続きだけでもいろいろ大変。役所に医師の証明した死亡診断書を持って埋葬許可を取らないと、死体遺棄になってしまう。死者の銀行口座を解約しようと思っても、法定相続人が複数いれば、遺産分割協議書も必要になる。とにかく、面倒なことが山ほどある。
40代の夫婦でもこんなことが起きるのだから、予備知識がない人は前もって諸手続きのことを勉強しておくべきだと思う。そして最大の問題は、残ったひとりが旅立つとき。これはどれだけ勉強しても、どうしようもない。
最善の方法は、弁護士等の代理人と契約をしておくことだろう。後見人として自分の埋葬等の手続きを代行してもらい、死後の財産を希望どおりに処分して、そこから報酬を受け取ってもらうようにするしかない。
今はまだいくつか検討中だけれど、信頼できる人や組織を探している。おそらくそういったサービスは、ニーズが高いのでこれから増えてくるだろうと思う。同時に詐欺まがいの人たちも暗躍するだろうけれどね。
どちらにしてもボクの年齢になったら、死の準備をしておくべきだと思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする