SOLA TODAY Vol.784
万引きは窃盗という犯罪。店舗経営者の立場になれば、腹立たしいことこのうえない。
少し前、年配の女性がスーパーで万引きらしき行動を取っているのを見たことがある。いやなものを見てしまったと思い、その日はずっと不快な気分だった。
だけどもしかしたら、あの女性は病気だったのでは？
去年のことになるけれど、マラソンの日本代表で活躍した原裕美子さんが、万引きで有罪判決を受けた記事が報道された。それも二度目の逮捕で、なぜそんなことになったのか不思議な気持ちだった。
この記事は、その原裕美子さんのインタビューをまとめた記事。
彼女が万引きをしてしまうのは、クレプトマニアという万引きをやめられない心の病気だった。そのきっかけは摂食障害だったとのこと。
高校卒業後に京セラの陸上チームに入ったとき、体重が増えてしまったらしい。そこでコーチから厳しい指導を受けたが、それがどうもパワハラに近いような個人的なものだったとのこと。結果として食べては吐くという、重度の摂食障害になってしまった。
周囲はそのことを知らないまま、彼女は体重の減少とともに実力を発揮して日本代表にまでになる。だけど注目を浴びるに連れて摂食障害はひどくなり、胃酸で歯がやられてボロボロになったそう。
そのうえ移籍先の金銭トラブルや結婚詐欺のようなことに巻き込まれ、摂食障害は悪化する一方。そのころに万引きが始まったらしい。
摂食障害の原因は、「食べたらダメ！」と心に圧力をかけられること。だから自分に対して常に『ダメ』という言葉を浴びせ続けてしまう。だからその反動として、『ダメ』なことをやる衝動に耐えられなくなる。それで万引きという違法行為に走ってしまう。
『ダメ』なことをあえてやることで、心が解放されるんだろうね。なんかそう思うと、窃盗だといって一方的に非難する気持ちになれない。先日ボクが見た年配の女性も、想像を絶するストレスを抱えているのかも。そう思うと気の毒になってしまう。
フィギュアスケートのロシア大会が終わったばかりだけれど、アメリカのグレイシー・ゴールドが摂食障害による休養から復活していた。だけどすごい美人だった彼女の姿は、体重が増えて見ているのも辛い状況だったらしい。ボクは直接見ていなかったけれど、写真でその様子を知った。
フィギュアスケートをやっていくうえで食事制限は避けられない。彼女が病気になった事情はわからないけれど、この原裕美子さんと同じような経緯があったのかもしれないね。
そこまでしてやるスポーツって、意味があるのだろうか？ そんなことを感じてしまう記事だった。
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