オーラは嘘をつかない
ここのところ気温が下がったせいか、ようやく神戸の木の葉が色づき始めた。今日は普段とちょっとちがうルートで散歩した。我が家からちょっと東に位置するところに、ある大学がある。その校門がいい感じで紅葉していた。
この感じだと、六甲山も来週あたりは見ごろだろう。自宅玄関から六甲山を望めるので、毎年紅葉の美しさに圧倒されている。今年も楽しみだなぁ。
普段とちがうルートを歩いて、ある発見をした。
「オーラは嘘をつかない」ということ。
帰り道、年に数回も行かないスーパーに立ち寄った。目的は今日のおやつを物色するため。妻と二人でブラブラ歩いていると、強烈なオーラを感じた。
それはそのスーパーで焼いているパン。他のパン類と同じように、商品棚に無造作に置かれていた。でもなんとも言えない強烈なオーラを感じた。
「これは絶対に美味しい!」
妻の顔を見ると、どうやら同じオーラを感じたらしい。それで迷わず購入して、自宅に戻ってから食べてみた。
思っていたとおり、めちゃくちゃ美味しかった。神戸は美味しいパン屋さんが多く、オススメの店舗は自宅周辺でもいくつかある。それなのにスーパーでこんなレベルの高いパンを置いていることに衝撃を受けた。
とにかく絶対に美味しい、というオーラを放っていたからね。やはり人にも物にもオーラがあって、そのうえ「オーラは嘘をつかない」ということを強く感じた。
そんな他人を引きつける強烈なオーラを放っている人が、これでもかと大勢出演している映画を観た。
『キネマの天地』という1986年の日本映画。有名な作品なので知っていたけれど、つい洋画を優先してしまうので未見だった。主演は有森也実さんと中井貴一さんだけれど、監督が山田洋次さんなので、『男はつらいよ』ファミリーが総出演していた。
映画館で売り子をしていた女性が有名女優になるというサクセスストーリーで、田中絹代さんがモデルらしい。その主人公である田中小春の父親役を渥美清さんが演じていて、もうマジで泣かされた。
主演女優の失踪で、大作の代役に抜擢された小春。でもどうしてもあるシーンがうまく演じられない。そんな娘に対して、父親はある告白をする。二人には血の繋がりがないだけでなく、その映画のシーンと同じような出来事が、父親と亡くなった小春の母との間にあったということ。
その告白をするときの渥美清さんは最高だった。思い出しても泣けてくる。事実を知った小春はショックを受けながらも、どうにか難局を乗り越える。そして大スターとなって映画が封切られた日、不治の病だった父は娘の演技を観ながら映画館で息絶える。
主演の二人や渥美清さんのオーラは、本当に強烈だった。ところがこの映画はその3人だけじゃない。おそらく当時の名だたる俳優さんや芸人さんが総出演していた。まさに昭和の大スターが集合という雰囲気で、亡くなった人も含めて輝くオーラで眩しいほどだった。
なかでも最高に強烈なオーラを放っていた人がいる。最初と最後だけ、チョイ役でしか登場していないのに強烈な存在感だった。
それは藤山寛美さん。久しぶりにお顔を拝見したけれど、言葉にできないほどいい雰囲気だよね。
やっぱり『オーラは嘘をつかない」と思う。だけど大切なのは、そのオーラを受け取れる感性を育てることだと思う。もっと精進して、素敵な人や物のオーラを感じられる人間になりたいと心から思う。
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