面白さの本質は振れ幅
先日のブログで、魅力は謎の多さに比例すると書いた。それとよく似ているけれど、面白さの本質は振れ幅じゃないかと思う。
遊園地のジェットコースターが楽しいのは、日常経験する感覚を超えた急降下や回転があるから。想定外の振れ幅があることによって、ドキドキしたり興奮したりする。
謎が多いとひきつけられるけれど、蓋を開けてありふれた人物だったら興味が消える。だけど予想もつかない行動を取る人だったら、驚きとともにさらに魅了されていくだろう。
振れ幅が大きいということは、極端から極端へ移行するような人だよね。だから一歩間違えば変人や狂人と見なされる可能性があるし、場合によっては犯罪者になりかねない。天才と呼ばれる人は、そうした危険な面をはらんでいるように思う。
そう考えてみると、歴史上の人物でも現代の著名人でも、天才と呼ばれるような人は極端な人が多いように思う。今ふと頭に浮かんだのは、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズ。彼は天才的なプレゼン能力があったけれど、家族等のプライベートな部分では人間関係が破綻していた。
もうひとり思い出したのは野口英世。彼も研究者としては天才的なものがあるけれど、人間的にはクソ野郎だもんね。でもこんな極端な振れ幅を持ってる人は本当に面白い。ボクが振れ幅の小さな人間なので、余計にそう感じるのかもしれない。
映画の設定でも、登場人物のキャラの振れ幅が大きいと面白い。恋愛映画なんだけれど、二人の関係が極端に設定された作品を観た。
『アウト・オブ・サイト』という1998年のアメリカ映画。この写真はジョージ・クルーニーとジェニファー・ロペス。なんだかいい雰囲気だよね。この写真だけ見ていると、素敵な恋愛映画のように思える。二人とも若いなぁ。
ところがジョージ・クルーニーが演じるジャックは、銀行強盗を200回以上もやらかしている泥棒。ただし銃を使った強盗はしないので、どちらかといえば知能犯的な詐欺師に近い。
一方ジェニファー・ロペス演じるカレンはFBI捜査官。それもかなりのやり手で、異常なほど正義感が強い。ジャックが刑務所を脱走したとき、二人は出会ってしまった。犯罪者と捜査官なのに、互いに一目惚れしてしまう。
刑務所を脱走してある大金持ちのダイヤ原石を奪おうとしているジャックと、彼を意識しながらもFBI捜査官として事件を追うカレン。そんな二人の恋愛ストーリーになっている。
映画としてはまずまずだけれど、主人公の美男美女を見ているだけでも楽しい。さらに二人の立場が大きな振れ幅を持っているので、さらに面白さが増している。物語のキャラを設定する場合、これくらい思い切った振れ幅を考慮するべきなんだろうね。いい勉強になった映画だったなぁ。
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