夢のためなら戦え!
人は好きなことだと、寝食を忘れて没頭することができる。テレビゲーム好きの人なら、翌日に仕事がなければ徹夜でも平気だろう。
好きなことが仕事になって食べていけるのなら、それほど楽しい人生はない。けれども好きなことで食べていくというハードルは、限りなく高い。
大抵の人はその壁の高さに絶望して、自分には才能がないと諦めてしまう。どんな分野でも、一流と呼ばれるには多大な努力が必要となる。
それは逆に言えば、諦めなければ勝てる可能性が高いということ。なぜなら本格的に戦う前に戦線離脱する人がほとんどだから。
史上最低、というレッテルを貼られながらも、夢のために戦い続けた人がいる。
『エド・ウッド』という1994年のアメリカ映画を観た。ティム・バートン監督とジョニー・デップという黄金コンビなので、いつもの雰囲気の映画だと思って内容を知らずに見始めた。
主人公はタイトルにあるエド・ウッドで、ハリウッドで名声を得ようともがいている。ところが芝居の脚本を書いても客は入らないし、映画の脚本をどれだけ書いても採用されない。
たしかにエドの企画は、いわゆるB級映画という内容ばかり。それもかなり質が低い。だからあの手この手で映画のスポンサーを探す。そのために目をつけたのが、落ちぶれた老人の俳優だった。その名を借りてようやく金づるを見つけると、なんとか映画を撮影する。
あえてモノクロで撮影された作品で、ボクはティム・バートンのオリジナル作品だと思っていた。ところがエンドロールを見てびっくり、この映画の登場人物たちは、すべて実在していた。
エド・ウッドは「史上最低の監督」と呼ばれたことで有名な人だったらしい。この映画の中でもいくつか作品が登場しているけれど、たしかにひどい。ひどすぎて笑えてくるほど。そのあたりも、ティム・バートンは完璧に再現したとのこと。
必死でスポンサーを見つけても、金を出した人間は映画に口出しをする。身内や関係者を主役にするよう、エドに持ちかけてくる。ある日絶望したエドは、映画スタジオを飛び出してバーに逃げ込む。
そこでなんと、オーソン・ウェルズに出会う。彼を尊敬しているエドは、自分の苦境を相談する。するとオーソンは、こう答えた。
「夢のためなら戦え。他人の夢を撮ってどうなる?」
この励ましの言葉を受けて、彼は自分らしい映画を撮ろうとする。そしてスマッシュヒットをようやく出す。でも、その後は転落人生だったそうだけれどね。
だけど夢のために戦い続け、諦めなかった彼の姿に共感した。史上最低と言われても、好きなことを最後までやめなかった。このひたむきな生き方を見て、ボクは勇気をもらうことができた。ティム・バートンらしい変な映画だったけれど、最後まで観ると強く心に訴えかけてくるものがある作品だった。
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