人間が野生動物に犯した罪
年末寒波が来ると天気予報が警告していたとおり、神戸は今朝からめちゃ寒い。夕方になって晴れ間が広がってきたけれど、ほとんどは曇り空で、時には激しい雪が降っていた。きっと記録上は、この冬の初雪になるだろうと思う。
それでも日本海側に比べたら、積もることもない可愛い雪だけれどね。雪が多い地域へ帰省する人は、マジで大変だと思う。その点、我が家は気楽なもの。買い物に行くときに寒い程度で、あとはいつものように引きこもりの年末かな。
仕事をしながら雪が降る景色を見ていると、元気にカラスが飛んでいる。この寒いのに野生動物たちはたくましいよなぁ。ボクはカラスが大好きなので、寒波が来るとせめて夜だけでも部屋を彼らに開放したくなる。まぁ無視されるだろうけれどねw
そんなカラスについて、今までのボクの疑問を解決してくる本と出会った。
『カラス学のすすめ』杉田昭栄 著という本。
著者の杉田さんは動物形態学、神経解剖学の教授で、医学博士でもある。彼は20年にわたってカラスの生態を研究されていて、その結果をまとめたのがこの本。カラス好きのボクにとっては、まるでバイブルのような本だった。
カラスというのはとにかく頭がいい。そして人間のように社会生活を営んでいる。他の鳥類に比べてカラスの脳はかなりデカい。体重に対する脳の比率は、なんと人間とたいして変わらない。もしかするとカラスたちは、人間より賢いかもしれない。
今まで謎だったカラスの生態が少しわかって、ますます彼らのことが好きになった。害獣扱いされているカラスたちだけれど、懸命になって生きている。人間が地球に登場したのは700万年前だけれど、カラスたちは7000万年前から存在している。人間にとって大先輩にあたる。
カラスの生態についてここでは書かないけれど、この本を読んでもっとも感動したことを書き残しておく。カラスは人間が出すゴミを荒らしたり、農作物に被害を与えている。さらにあの黒い風貌のゆえ、忌み嫌われているところもある。
そんなカラスが起こす問題に関して、この本の最後で著者はこう述べている。
『カラスが目につくようなゴミの出し方、収集方法を採用していながら、そのゴミ(エサ)を食べてはいけないなどと非難するのは、人間のエゴです』
そうそうまさにボクと同じ意見。人間がマナーを守らないゴミの出し方をするから、カラスたちに荒らされてしまうだけのこと。その原因は人間が作っている。
著者はさらにこう続ける。
『カラスが住んでいたところに後から人間がやって来たという意識を常に持てば良いのです。新しい環境に移り住んだときには、隣近所の迷惑を考えて慎しみ深い生活をするでしょう。それと同じことをカラスに対してもすれば良いのです』
全面的に同意!!! ほんとそう思う。ボクたち人間は後輩だということを忘れちゃいけない。野生動物のすみかに侵入して、環境破壊という罪を犯したのは人間なんだから。それなのに彼らを害獣扱いするのは筋が違うと思う。
共生とは、ともに生きること。カラスの被害に対して、ボクたちはもっと謙虚になって真剣に共生の道を考えるべきだと思う。
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