あなたの世界は本当に現実?
ボクが体外離脱をして最初にすることは、それが本当に非物質世界かどうかを確認すること。それを怠ると、バルコニーから飛び降りたら永遠に体外離脱してしまうことになるからねw
本にも書いたけれど、もっともわかりやすいのがバルコニーに通じるガラス戸に頭を突っ込むこと。これで跳ね返って痛い思いをしたりガラスが割れるようだったら、10階から飛び降りないほうが賢明だろう。
でもスルッとバルコニーへ抜けることができたら、その勢いのまま空を飛べばいい。要するにそれほど体外離脱の世界が、リアル世界と知覚が同質だということ。この感覚は分かりづらいかもしれない。
だけど、「あぁ、こんな雰囲気なのか」という感覚を味わさせてもらえる映画がある。久しぶりに観たけれど、わかっていても幻想と現実のちがいに驚いた。それまで現実だと思っていた世界が、実は幻影だと知ったときのショックを体験できる映画。
『ドリーム・ハウス』という2011年のアメリカ映画。この映画で夫婦役を演じたダニエル・クレイグとレイチェル・ワイズは、この作品がきっかけで実生活でも結婚することになった。まさに虚構と現実がリンクしている。
これは文章でクドクドと説明するより、実際に観たほうがいい。そうでないと映画の後半になって、1回目しかできない驚き体験を逃してしまうからね。わかっていても面白いほどだから、ぜひ驚いてみたいと思う人は、この先を読まないほうがいいよ。
主人公のウィルは、出版社を退職して作家として生きようとする。そうすることで妻と二人の娘と幸せな時間を共に過ごせるから。ところが幸せなはずのドリーム・ハウスに暗雲がわきたつ。自分たちが買った家で、過去に一家惨殺事件が起きたらしい。
その事件の真相を探るうちに、ウィルは衝撃的な事実を知ることになる。自分の本名がウィルでないことを思い出し、惨殺されたのは自分の妻と二人の娘だったことを知る。そして犯人として逮捕されたのは自分だった。ウィルは幽霊と暮らしていたことになる。そこにあったのは幻想世界だった。
この映画の面白さは、この視点の転換が完璧に機能していること。現実に戻った瞬間にドリーム・ハウスはボロ屋になり、ウィルの髪型から風貌まで変わる。そこになってようやく映画を観ていた人は、自分がウィルの幻想を見せられていたことに気づく。レオナルド・ディカプリオが主演した『シャッター・アイランド』と同じ手法だよね。
そして事件の真相が冤罪だとわかり、真犯人との対決に亡くなった妻の幽霊が助けてくれる。ホラー映画のような雰囲気なんだけれど、めちゃめちゃ感動して涙が止まらなくなる。
ラストで幽霊になった妻と幼い二人の娘と別れるシーンでは、マジで号泣してしまう。地味な映画であまり話題になっていないかもしれないけれど、ボクは映画史に残して欲しいほどの名作だと思う。視点移動の妙味をぜひ体験してほしい。
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