SOLA TODAY Vol.866
ボクがどうしても我慢ならないものは、子供と動物に対する虐待。圧倒的に弱い立場である存在を虐待するなんて、どんな理由があろうと許せない。
ここのところ小学校4年生女の子の虐待死が頻繁に報道されている。辛すぎてほとんどスルーしているけれど、ときおり目にするのは児童相談所の怠慢。
たしかに子供を助けることができなかったことを思うと、非難されるのはわかる。何度もそのチャンスがあったのに、悪魔のような親の元へ帰してしまったんだからね。
ただものごとは一方的な視点だと正確に判断できない。なぜ児童相談所が今回の事態を引き起こしたかを考察した記事がある。
児童相談所の「労働問題」を考える 職員を叩くだけでは解決しない
その理由はブラック労働だった。児童相談所の職員が、これほど過酷な労働環境下にあるのをまったく知らなかった。
虐待に関する相談対応はここ10年で10倍に増えているそう。だけど職員の数はわずか2.5倍しか増えていない。これだけでもすでに対応不能であることがわかる。
相談件数が増えただけで、子供の命に関わる虐待が10倍になったということじゃない。だけどそれを見極めるには、想像を絶する困難を伴う。48時間ルールというのがあるそうで、虐待の相談を受けてから48時間以内に実態を確認することになっている。
つまり担当した職員は不眠不休で対応するしかない。そのうえ相談件数が増える一方なので、常に担当先を抱えている状態。親にすれば48時間は虐待を抑えていても、その後はわからない。だから長期的なケアも求められる。かなりむちゃくちゃな状況だよね。
ところがこの状態に対する解決策がまったく見えていないらしい。「子供家庭福祉士」という新しい資格の案も出ているが、職員の労働条件が変わるわけじゃない。
子供のケアと家庭への介入の部署を分ける案も出ているそうだけれど、統一性が取れないと虐待事例が悪化する可能性も高い。マジでお手上げ状態というのが実情らしい。
どうすればいいんだろうね? 本当に深刻な問題だと思う。
虐待をする人間は、ある意味依存症と同じ。反省する態度を見せても、やめられない人が多い。だから対象である子供を絶対に手放そうとしない。アメリカの事例で見たことがあるけれど、実の子供を引き離しても養子縁組してまで虐待する対象を求める。これは明らかな精神疾患だと思う。
そして恐ろしいのは、虐待が連鎖するということ。虐待を受けた子供が大人になると、不思議なことに自分の子供を同じく虐待する人が多い。辛い思いが理解できるはずなのに、虐待の連鎖が続いてしまう。
もし虐待された子供がサイコパスだったら、その子供の将来は恐ろしい。凶悪犯罪を起こしたサイコパスのほとんどが、子供時代に虐待を受けている。本来なら優秀な外科医やパイロットになれるはずのサイコパスという才能が、とんでもないことに使われることになる。
とにかく行政は児童相談所のあり方について真剣に考えないと、同様の悲劇が今後も続くことになると思う。
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