ありゃ、マジで怒らせちゃったよ
時代劇でよく取り上げられるのが『仇討ち』。これは日本のドラマに限らず、海外モノでもテーマにされることが多い。
主人公が理不尽な行為に対して復讐を決意したとき、登場人物に感情移入した読者は自分のことのように興奮してアドレナリンを放出させる。
それゆえ復讐劇というのは、映画や小説の題材として面白い。昨日読んだ作品はまだ上巻だけれど、すさまじい復讐劇になりそうな予感がする。
『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女』上巻 ダヴィド・ラーゲルクランツ著という小説。
ボクの大好きな『ミレニアム』シリーズの第5弾。このシリーズについては、『奇跡を起こしたサヴァン症候群の少年』という記事をさかのぼってもらえば概略を知ってもらえると思う。
第4弾でサヴァン症候群の少年の命を守り、事件を解決した天才女性ハッカーのリスベット。ハリウッド映画では『ドラゴンタトゥーの女』として知られている。
この第5弾では、いきなりリスベットは刑務所にいるところから始まる。事件は解決したものの、少年を誘拐したと曲解されて2ヶ月の懲役刑を言い渡されていた。もちろんもう一人の主人公である雑誌創業者のミカエルは抗議したが受け入れられない。
微罪なので最初は警備の軽い刑務所に収容されたが、彼女の命を狙っている人間がいる。それは双子の妹のカミラ。カミラはクレイジーな父のあとを継いで闇の組織を牛耳っていた。それゆえ警備が厳重な刑務所へリスベットは移送された。
そこでいろいろと事件が起きる。ファリア・カジという20歳の女性が今回の中心人物。この女性はイスラム原理主義者の陰謀に巻き込まれて、刑務所に収容されることになった。そしてまだ命を狙われている。当然ながら虐待される女性の味方であるリスベットは黙っていない。
このことでリスベットは苦境に立つことになるけれど、まだそれ以外にも問題が起きる。どうやら彼女は幼いころにある人体実験を受けていた可能性が出てきた。そのことを知らせてきたのは、リスベットがミカエル以上に信頼しているパルムグレンという老弁護士。
少女時代に不当な扱いで精神病院に閉じ込められていたリスベットを救った人物で、彼女の後見人を務めていた。その病院時代の資料で、リスベットに関わる秘密が発見される。そのことを調べようとしたパルムグレンは、その組織に無残にも殺されてしまう。
パルムグレンの遺体を発見したのはミカエル。当然ながら刑務所のリスベットにそのことを伝える。ところが彼女は冷静な反応だった。
だけどリスベットはそういう女性。本当に怒り狂っているからこそ、その感情を表に出さない。その人体実験をやっていた組織は、とんでもない女性を怒らせてしまったことになる。リスベットの怖さを知らんからね。バカだよなぁ、と『リスベット推し』のボクは彼らを憐れんでしまった。
上巻の最後でリスベットは釈放される。おそらく下巻では、彼女の復讐劇が始まると思う。そして少女時代の秘密も明らかなるはず。さらにファリア・カジという女性が狙われているイスラム原理主義者が起こした事件も影響してくるだろう。
リスベットの復讐劇がどのようになるか、いまからワクワクしている。きっと胸がスカッとする結末になることを確信している。
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