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高羽そらさんインタビュー

あまりに無念すぎる

過去を思い返して後悔ばかりしても意味がない。こうすれば、ああすれば、と思ったところで事実を変えることはできない。

 

でも過去の経験を、未来のために生かすことは絶対に可能。そのために歴史を学ぶ必要があると思う。それもできるだけ真実に近いものを……。

 

昨日ある本を読了して、そのことを痛感した。涙なしで読めない本だった。

 

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『大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇』堀栄三 著という本。

 

著者は昭和18年の10月に、陸軍大学校を卒業して軍の中枢である大本営に参謀として配属された。いわゆるエリート軍人だと言っていい。

 

配属されたのは陸軍大本営の第二部というところ。第一部は作戦を練る部署で、第二部は戦争に関する敵国の情報を扱う部署になっている。この本を一読するだけで、太平洋戦争がどれだけ無謀なことだったのか明確に理解できる。内部告発のようなものだから、具体的なデータとともに当時の事実が詳細に記されている。

 

昭和18年と言えば、アメリカと開戦してからすでに2年近く経っている。ところが著者が情報部に入った段階で、まだ米国専門の情報部署が存在していなかった。そんなこと信じられるだろうか?

 

陸軍が早くから創設したのはソ連と中国に関する部署。ドイツと同盟を結んだことで、ドイツ専門の班もあった。ところが米国に関しては欧米というひとくくりで専門的な部署がなかった。敗戦濃厚になってきた昭和18年になって、ようやく専門班が設置されている。マジで開いた口がふさがらなかった。

 

詳細は省くけれど、とにかくお粗末でしかない。第一部の作戦部門は秀才ばかり集められていたけれど、情報なんて必要ないという感覚だったらしい。だから第二部にはそれほど優秀な参謀が置かれない。せっかく情報を集めて第一部に知らせても、ほとんど無視される状況だったらしい。

 

著者が親しくなったドイツ将校から日本の暗号が盗まれていると警告を受けていたのに、上司に伝えても無視される。真剣に取り合ってもらえなかった。だけどこの著者はとても優秀な人で、素人ながら情報のスペシャリストとして名をなすことになる。

 

ルソン島の米軍上陸の時期や、日本本土の上陸作戦について、まるで予言者のように正確な日時を導き出している。マッカーサーの考えを読んでいるので、『マッカーサー参謀』というあだ名がついていた。戦後のGHQも彼のことを『マッカーサー参謀』と呼んだらしい。

 

なぜそれほど正確に情報をつかむことができたかについて、GHQに尋問を受けているほど。それはひたすら根気と努力の積み重ねでしかなかった。軍の上層部の協力が得られない状況で、どうにかして兵士の命を守ろうと必死だった。

 

もし日本軍が情報の大切さを理解していて、米国に対して正確な情報を得ていたら、日米開戦という選択肢を考え直した可能性がある。どう考えても勝てる見込みはなかったから。米国は大正10年ころから太平洋上での日本との戦争をシミュレーションしていて、思惑どおりに日本は乗せられた状態だった。

 

もっと情報を重視していれば、少なくとも本土の大空襲や広島と長崎の原爆投下を避けられた可能性がある。そう思うとあまりに無念すぎる。

 

当時の日本軍は戦争に勝つためではなく、死者を出さないために情報を活用することができたはず。それをやらなかったことで、多くの尊い命を犠牲にしてしまった。

 

少し古い本だけれど、一読の価値がある貴重な体験記だと思う。戦争回避のため、どれほど情報が大切なのかを理解できる。もっと広い意味で読めば、社会における人間関係にも応用できると思う。こうした本こそ、真の意味で歴史を語り継ぐということなんだと感じた。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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