SOLA TODAY Vol.877
人間は理性よりも感情で動く。何かについて判断するとき、事実よりもどう感じるかに左右される。
ある出来事について、事実よりも感情が優先されていることを検証した記事がある。
HPVワクチン賛成派は反対派に伝え方で負けている 「大砲に刀で戦っているようなもの」
すでに効果が世界的に証明されている子宮頸がんワクチン。このHPVワクチンについては、副反応に関して異常なほどのニセ情報が拡散された。
言い出しっぺの研究者が自分のまちがいだったと否定したにも関わらず、重症な副反応がワクチンによるものだと断定され、その事実がひとり歩きしている。なぜそんなことになったのかを検証すると、興味深い結果が出ている。
賛成派は事実を伝えようとして、明確なデータを出す。ワクチンと副反応との関連性や、ワクチンを接種することでどれだけ多くの命を救うことができるかを提示する。必然的に論理的な文章となり読みづらい。
事実を捕捉するために科学者の助けを借りた場合、さらにその内容が小難しくなる。それゆえきちんと読んでもらえないことが多い。
ところが反対派は科学的な事実なんて興味がない。副反応がどれだけ酷くて、若い女性の人生を台無しにしたかを感情的にあおる。おまけに医師や看護師を巻き込んでその姿を見せることで、視覚的な説得力を増すことに成功した。
賛成派が『理性』で訴えても、反対派の『感情』には太刀打ちができない。この記事のタイトルどおり、「大砲に刀で戦っているようなもの」だろうね。
これはHPVワクチンだけの問題じゃないと思う。賛否が争われることについて、感情論が優先することで捻じ曲げられている事実がいくつもあると思う。結局は感情に訴えたほうが勝ちだということかもしれない。
この事実は情報の発信者としてだけでなく、受け手としても留意するべきことだと思う。
自分が情報を発信する場合、それを多くの人に届けようと思えば感情を刺激するのが効果的だということだろう。これは小説なんかにも言えるかもしれないよね。
そして情報を受ける場合、自分が感情で判断していないか細心の注意を向けるべきだと思う。なんとなく感覚的に嫌なことでも、事実を見逃すことのほうが結果として自分に損失をもたらすことになる。
感情って大切だけれど、やっかいなものだよなぁ。
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