SOLA TODAY Vol.887
ボクが大好きな映画のひとつに、トム・ハンクスが主演した『グリーンマイル』という作品がある。双子の少女を殺害した罪で死刑を宣告されている受刑者をめぐる物語。その死刑囚には『癒し』の力があり、冤罪だと知りつつラストは死刑を執行される。
原作はスティーブン・キングで、『ショーシャンクの空に』と同じく刑務所を扱った感動作として映画史に名を残している。『ショーシャンクの空に』の原作は読んだけれど、近いうちに『グリーンマイル』の原作も読む予定。
こんな不思議で感動する物語を、スティーブン・キングはどうして思いついたのか気になるところ。でも昨日ある記事を読んでいて、もしかするとこの事件がヒントになったのでは、と思うような出来事を知った。
知的障害を持った青年が冤罪で死刑となり「世界一幸せな(楽しそうな)死刑囚」と呼ばれるまでの物語
1915年生まれのジョーは知的障害を持っていて、施設で暮らしていた。知能指数は46で、数字も5までしか数えらえれない。成人しても子供のように無邪気な性格で、いじめを受けたせいで1936年に施設を出ている。
そのとき近くで殺人事件が起きた。15歳と11歳の姉妹が襲われ、姉は殺されて妹は重傷を負った。タイミングの悪いことにジョーはその近くをうろついていた。警察に連行されると、厳しい尋問を受けて犯行を自供している。
ところがその自供は捏造された可能性が高い。当時の保安官はギャング一味を捕まえて有名人扱いされていたらしく、再び新聞紙上を賑わすことを意図したらしい。数字が5までしか数えられないジョーなのに、彼が犯行当時の状況や様子をこと細かに語った供述書を作成した。物的な証拠はまったくない。
そのうえ真犯人が逮捕されている。その男はジョーの存在を知って、彼が犯行に加わったと嘘をついたらしい。誰もがジョーの無罪を確信しているのに、彼は真犯人とともに死刑を執行されてしまった。1936年のアメリカでさえ、その程度の捜査だったんだね。
ジョーには死刑というものが理解できない。だからガス室に送られても笑顔だったそう。想像するだけで胸が痛くなる。看守との心の交流も深く、まさに『グリーンマイル』と同じシチュエーションだった。
共通点はいくつもある。被害者は姉妹。冤罪。真犯人が収監されている。看守との心の交流。そしてグリーンマイルの死刑囚の名はジョンで、現実の死刑囚はジョーという名前。スティーブン・キングは、この出来事を知っていたんだと思うなぁ、
それにしても死刑は怖い。ボクが死刑制度に反対なのは、こうした冤罪が存在するから。被害者家族の気持ちを思うと、極刑を望む気持ちは理解できる。だとしてもそれ以上に冤罪のほうが恐ろしい。世界的な傾向として死刑は廃止されつつあるけれど、日本から死刑は消えそうにないね。
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