3度も美味しい『カメ止め』
50代も半ばを過ぎると、感情に節操がなくなるような気がする。年齢とともに感情を抑制する力も老化するらしく、野放しになっているみたいwww
まぁだからオッさんはすぐキレる、と非難されるんだろうね。でも感情は怒りばかりじゃない。感動の涙も、清々しい笑顔もある。ボクなんか年々涙もろくなっていて、ちょっとした映画ですぐに泣いてしまう。
昨日なんて仕事をしながら妻が観ている映画をチラチラのぞいては、感動して涙ぐんでいるんだからね。感情がダダ漏れになってる。
そして昨日と打って変わって、今日はひたすら笑い転げていた。それはこの映画を観たから。
『カメラを止めるな!』という2017年の日本映画。これは絶対に観たほうがいい、という評判がネットで飛び交っていた。なかなか機会がなかったんだけれど、先日地上波での初放送があったのを録画しておいた。
いやいや、これは本当に面白い! いままで観てなかったのをマジで後悔した。もしまだの人があったら、絶対に観たほうがいい。決して初めて使われる手法じゃないんだけれど、これほどうまく構成されている映画は少ないと思う。上田慎一郎監督に全力で拍手を送りたい!
できる限りネタバレしないように紹介しよう。覚えておくべきなのは、この映画は1回の鑑賞で3度も楽しめるということ。
冒頭37分のワンカット映像はマジですごい。ソンビ映画を撮影中に本当のソンビが出てくるという物語を、ワンカットで撮影している。クスクス笑いながらも、これを撮影した俳優さんもスタッフも大変だったろうな、と感心してしまった。
『スネークアイズ』というニコラス・ケイジ主演の映画でも、ワンカットの長回しで17分というものがあった。だけどこれは37分だよ! たった一人のNGですべて撮り直し。出演者やスタッフにしたら恐怖でしかないだろう。
そして2度目に面白いのは、その映画の舞台裏。生放送されているときのバックヤード映像が映画の後半になる。最初に見た37分の映像がどのように生放送されたかが観客にわかるようになっている。違和感を覚えていた変なシーンも、トラブル処理の時間稼ぎだったこと等がわかる。
これがエンディングまで続くんだけれど、もう腹を抱えて笑ってばかり。監督役を演じた浜津貴之さんのキャラが最高。気が弱い監督で、プロデューサー、俳優、スタッフに対して強く言えない。小生意気な俳優が好き勝手なことを言い出しても、なんとかしようと必死になる。
その監督が生放送の開始と同時に本性を見せる。彼の妻と娘も最高! とにかく映画の裏側、それも必死のパッチの裏側を見ながら笑ってばかりいた。アル中の俳優や下痢のスタッフまで出てくるんだからね。もうたまらんかった!
そして3度目の面白さはこの映画のエンドロール。冒頭の37分ワンカットにおける、実際の撮影シーンが流される。ドタバタの裏側を見たあとだから、本物の真剣度がよりストレートに深く伝わってくる。いやいや本当にすごい映画だわ。日本の映画史に残る作品だと思う。これは何度も観たくなるよなぁ。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする