進化する携帯狂人の恐怖
昨日から今日の午前中にかけて、InstagramとFacebookに障害が発生していたとのこと。試しに接続してみたが、お昼過ぎまで完全にダウンしていた。
ボクの場合はFacebookをブログの更新告知にしか使っていないので、別にどうってことない。だけどFacebookページなんかを仕事に使っている人は、軽いパニックになっただろうね。
それだけボクたちはIT機器とアプリに依存しているので、トラブルが起きると何かと大変なことになる。いまだにスマートフォンを使っていないというような人でも、ガラケーは持っているはず。携帯電話なんて絶対に使わない、という人はかなりレアな人だろう。
だけどもし、そんなレアな人だけが生き残れるとしたら? そんな世界を描いた小説を読んだ。
『セル』上巻 スティーブン・キング著という小説。時間が許す限り、彼の小説を全作読破しようとトライしている。
いつも著者のアイデアには感心するけれど、この作品も発想の奇抜さに驚かされる。ある日の午後3時、世界中の携帯電話に『パルス』と呼ばれるものが発信された。その瞬間以降、携帯電話を使っていた人に異変が起きる。
完全に自我を失くし、意味不明の言葉を発する。そして身近な人間に襲いかかって殺してしまう。自動車を運転中ならそのまま追突するし、飛行機を操縦している人はテロのようにビルへ突っ込む。
何も武器を持っていない人は、女性であっても屈強な男に飛びついて喉を噛み切って殺してしまう。携帯電話を使っていた人は、すべて正気を失って狂ってしまった。動物が持つ闘争本能だけが残っている状態で、食べるか殺すかの、まさにゾンビと同じようになってしまう。彼らはこの物語で『携帯狂人』と呼ばれている。
物語の主人公はクレイというコミック作家。彼は携帯電話が大嫌いで、携帯狂人になるのを防ぐことができた。逃げる途中でトムという男性と出会い、二人で協力して安全な場所へ逃げようとする。
その二人に加わった仲間がアリスという15歳の少女。目の前で携帯狂人になった母親に殺されそうになり、逆に実の母を殺して逃げているところで二人に出会った。3人は家族のような絆を結び、一緒に逃亡を続ける。
やがて少しずつ携帯狂人の生態がわかってくる。昼間は食料を探してうろついているけれど、夜になると一箇所に集まって朝まで眠る。渡り鳥のように集合意識を持っていて、訓練された兵士のような行動を見せる。
クレイたちはある学校の校長と唯一生き残った生徒と知り合う。その学校のサッカー場で携帯狂人たちは睡眠を取る。その様子を観察することで、彼らの睡眠の理由がわかった。
人間の脳をハードディスクだと仮定すると、『パルス』は脳を初期化させる電波だったらしい。そしてパソコンのアプリが進化していくように、携帯狂人は夜のあいだに再起動することで、脳のアプリを進化させていた。
最初はゾンビのようだったけれど、やがて本に興味を持ったり、超能力のようなものを身につけ始める。死んだ仲間の遺体を片付けたり、清掃まで始めるようになった。このままま進化を続ければ手に負えなくなる。いまのうちに抹殺しなければ、というところで上巻が終わっている。
めちゃ面白くて、読み出したら止まらない。上巻では『パルス』の原因も、その背景もわからない。まだ謎だらけなんだけれど、ゾンビものとSFドラマが混ざったような展開になっている。続きが気になって眠れないので、今日から下巻に突入。しばらくはスマートフォンを持つのが怖くなるかもね〜w
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