サイコパスVSサイコパス
サイコパスという言葉は、どうしても悪い意味で使われることが多い。それは凶悪犯罪と重ねられてしまうからだろう。映画の『サイコ』というタイトルなんかも、そのあたりを意識したものだと思う。
たしかに連続殺人犯、特に猟奇的な犯罪を犯す人にサイコパスが多いのは事実。だけどサイコパスというのは脳のある状態を指しているだけで、犯罪者と同義語じゃない。そのあたりを誤解している人は多い。
ボクは一時期サイコパスに関心を持って、関連本をいくつか読んだ。まだ不明確な部分はあるけれど、サイコパスに対する基本的な概念は確立しつつある。
もっとも多数派の見解は、脳の前頭葉に機能不全の部分があって、他人の感情に共感できない人のこと。つまり他者に対する想像力が、普通の人に比べて欠落している。
たとえば映画やドラマで、銃で撃たれたりナイフで刺されるシーンがあったとしよう。それがリアルに表現されていると、普通は目をそむけてしまう。なぜならその痛みを想像してしまうから。
ところがサイコパスの人は、それをなんとも感じない。他人の痛みと自分の感覚を切り離しているから平気でいられる。だからサイコパスの人が社会に果たす役割はかなり大きい。
優秀な外科医にはサイコパスの人が多い。脳神経外科の手術なんか、頭蓋骨を開いて脳にメスを入れるんだからね。相手の痛みや苦痛を想像してしまったら、正気でいるのは難しい。でもサイコパスの人なら、平常心で手術ができる。
パイロットやスパイのような人もサイコパスが多いそう。あとは軍人とか警察関係にもいる。そうしたサイコパスの人の一部が、恐ろしい犯罪をやらかしているだけ。その引き金になるのは、子供のころの虐待というのが定説になっている。凶悪犯罪者でサイコパスの人は、強烈な虐待を受けて成長した人が多いそう。
今日はそんなサイコパス同士が戦うドラマを観た。
『THE TUNNEL 国境に落ちた血』というイギリス・フランスの合作ドラマ。今回は第5話と第6話を観た。これ以前については『ホラーと歯科医の共通点』という記事からさかのぼってもらえるよ〜。
イギリスとフランスの国境で起きた殺人事件が物語の始まり。今回の第5話と第6話では、ますます犯人の行動がエスカレートしていく。統合失調症の男性をあやつって、日本刀で精神科医を首チョンパ!
さらに暴動を起こした人間をターゲットにして、特殊な化学材料で全身を燃やしたり、復讐心をあおって他人に殺人をやらせようとする。妻と観ながら推理しているけれど、まだ犯人は確定できない。来週の第7話、第8話では犯人に近づきそうな予感がする。
とにかくこの殺人鬼がサイコパスであるのは明らか。でないとこれほど凶悪なことはできないだろう。ところが捜査側にもサイコパスがいる。
それは主人公のひとりである女性刑事のエリーズ。フランス警察の刑事だけれど、彼女のキャラはかなり特異。容疑者の尋問も、関係者の事情聴取も平気で相手の心を傷つける。人づきあいが苦手で、まったく他人に共感できない。
もう一人の主人公であるイギリス人刑事のカールの自宅で食事をご馳走になっても、奥さんにむかって「美味しくない」とはっきり言ってしまう。言われた相手がどう思うかなんて気にもしない。
彼女はどう見てもサイコパス。だからこそ優秀な刑事なんだろう。このドラマはサイコパスVSサイコパスの様相を呈してきた。来週の放送が楽しみだなぁ〜!
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