群集心理による暴徒の恐怖
人間というのは不思議な生き物で、一人ひとりは優しく温和な人でも、集団になると暴走することがある。いまでもパリで起きている暴動は、そのことを如実に証明しているように思う。
少し前に読んだスティーブン・キングの『セル』という小説でも、脳を初期化された人間の集団が、たったひとつの意識を有してゾンビ化するというシーンがあった。『個』が存在しないところでは、個人の責任意識が希薄になる。だから人間は歯止めが効かなくなるのだろう。
今日観たドラマで、そんな集団の恐ろしさが取り上げられていた。
『THE TUNNEL 国境に落ちた血』というイギリス・フランスの合作ドラマで、今回は第7話と第8話が放送された。第6話までの感想は、『サイコパスVSサイコパス』という記事に書いているので参照してね。
いよいよ結末が近づいて来たけれど、今回も連続殺人犯であるTTの犯行は卑劣きわまりない。小学生のスクールバスをバスジャックして、子供と運転手を人質に取った。そして彼らの命を救いたければ、あるメーカーのスポーツシューズを扱っている店舗を攻撃するようにとの声明を出した。
これがネットで流れるものだから、マジで恐ろしい。イギリスとフランスの複数の店舗が襲われて、火炎瓶等で燃やされる事件が次々に起きた。この写真のシーンは、主人公であるイギリス人刑事のカールが、火災現場に飛び込んだところ。
スポーツ店に襲いかかった暴徒は、そのほとんどが子供のいる女性。子供の命を守るべきだとという感情を刺激することで、犯人は大衆心理を操っている。二人の子供を残して、どちらを殺すかという投票まで犯人はやっている。結果として子供は解放されるが、運転手はネット中継されながら射殺された。
このドラマは登場人物が多く、複数の出来事が同時進行する。だからうっかりしているとストーリーがつかめなくなるけれど、ようやくそれらの出来事がひとつに集積してきた。今回の第8話で犯人の概要がつかめた。
それは『ペロトン』という過去に実施された隠密の作戦にヒントがあった。EU圏の秩序維持が目的だけれど、非合法なことも警察組織等によって実施されていた。最初の事件の被害者である議員は、この作戦の資金洗浄に関わっていたらしい。そこで浮かび上がったのがアシュトンという元警察官。
主人公のカールと同僚だったが、死亡が確認されていた。ところが第8話でその歯型が偽装されたものだとわかる。つまりアシュトンは生きていた。さら第8話でジャーナリストのダニーが殺される。TTの連絡役だったダニーがなぜ殺されたのか?
アシュトンの妻と子供が、飲酒運転の車に追突されて死んでいる、そのとき助手席に乗っていたのがダニーだった。彼が目をつけられたのはジャーナリストとしての能力だけでなく、アシュトン、つまりTTの復讐だったということ。ダニーの変名に気づいたカールがその事実を発見する。
そしてカールもアシュトンに恨まれている雰囲気。今回の事件はカールに対する復讐だという予感がしてきた。いよいよ来週の放送で完結。アシュトンがカールの家族に近づいているので、ちょっとヤバい空気。来週の放送が楽しみだなぁ。
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