SOLA TODAY Vol.908
2〜3年前の桜の季節のこと。毎年恒例のドライブ花見の帰り道、名神高速道路の吹田SAでドイツ人の女性を乗せたことがある。
ニーナという名で、ヒッチハイクで日本を一人旅していた。四国に行きたいとのことで明石海峡大橋近くまで車を走らせるつもりが、香川県の高松駅まで乗せたことがある。
ボクは運転に集中していたので妻が話し相手になってくれた。ドイツのケルン出身で恋人はオーストラリアにいるらしい。あんなに若くて美人の女性がヒッチハイクで旅をできるのは、まだ日本の治安がいいということだろうね。
そんなドイツ人に関する、とても面白い記事を読んだ。なぜニーナがこんな旅をしていたのか、少しわかったような気がする。
物を買わないドイツ人が日本人よりもお金をたくさん使っているもの
ドイツ人と結婚された日本人女性の記事。ドイツ人というのは、徹底して物を買わないそう。パソコンやスマートフォンなんて動いてる限り買い換えないし、家具や日用品も修理して使い続ける。
年に一度無料で大型ごみを出せるらしいけれど、役所が回収に来る前にほぼ消えてしまう。その場にいあわせたら、ありがとう、と声をかけて笑顔で持っていくらしい。日本人も似たようなところはあるけれど、ボクたちの想像を超えるほど徹底した倹約思想がドイツ人の魂に刻み込まれている。
この記事の前半を読んで、笑いつつも感心してしまった。だからドイツで生活していると、そこそこお金が貯まるそう。でもドイツ人がお金を使わないわけじゃない。あることに関しては積極的にお金を使う。
それは『旅』だった。ボクはこの記事を読んで、すぐにニーナのことを思い出した。やっぱり彼女も真のドイツ人だったんだね。
国連の統計によると、国際観光支出の1位は中国、2位はアメリカ、そして3位がドイツ。でも人口1人あたりの観光支出は、中国が186ドル、アメリカが382ドルとなって、なんとドイツは964ドルになる。
といっても贅沢な旅をするというのではなく、ニーナのようにお金をかけない旅が多い。その部分に関しても、倹約精神が生きているんだろうね。
日本人が海外旅行に行くと、一つでも多く有名な観光地へ向かったり、時間を惜しんで現地の食事を楽しもうとする。そしてホテルに戻るとヘトヘトになってしまうことが多い。
だけどドイツ人の旅に対する感覚はちがっていて、もっとも大切にすることは『リラックス』することらしい。だから観光地を急ぎ足で回ることなく、のんびりと過ごす。この記事の著者のご主人が京都に来たときなんか、1時間も鴨川を眺めていたそう。
日本もドイツも第二次世界大戦の敗戦国だけれど、戦後は世界の経済を牽引してきた。そういう意味では、勤勉なところは両国に共通しているように思う。だけど根底にあるものは、ずいぶんとちがうんだなぁと感じた。現代のような消費優先社会において、日本人は彼らを見習うべきかもしれないなぁ。
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