SOLA TODAY Vol.918
技術は猛烈なスピードで進化しているけれど、人間関係というのは同じことをくり返しているように思う。
この時期、新卒の人は未来への希望と同時に、上司との関係で強烈な不安を覚えているはず。そして上司も同じく、新入社員のふるまいに頭を抱えているだろう。
ところがこれはいまに始まったことじゃない。その上司だった人が新卒のときは、上の人間に対して同じ想いを抱いていたはず。時代というものは、こうしてくり返すだけなのかもしれない。
皮膚感覚だけで語る「説教オジサン」を見極める方法――新入社員へのメッセージ
とてもいい記事だった。新卒の人も、そして上司の人も読むべきだと思う。
著者は1998年、新聞社に入社した。そのときの研修で感じたのは、古い思考にとらわれている上司の物の見方。自分たちが新しい時代を作っていかなければ、と強く感じたらしい。
ところがその10年後。同期の人間が久しぶりに集まった席でのこと。10年前は上司たちの古い思考に憤慨していた人物がこう言った。
「最近の新入社員は本当にダメだ! 言われたことしかやらない」
著者は「お前が新人のとき、言われていないことをやったのか?」と言いたくなったけれど、喧嘩になるのが目に見えていたので黙っていたらしい。
新人のころは古い体質を吹き飛ばそうとしていたのに、いつしか組織に迎合するようになる。そして気がつくと部下に説教をしている。おそらくどんな組織も、そのくり返しなんだと思う。
これはいい悪いの問題ではなく、人間が持っている性質なんだと思う。歳を重ねれば重ねるほど、自分が築き上げてきた観念を固定化させてしまう。それを絶対視するものだから、合致しない人間を非難してしまう。いわゆる典型的な『老害』だよね。
でも上司の言葉がすべて悪いわけじゃない。経験に裏打ちされたものがあるはずなので、新卒の人が真摯に耳を傾けるべきものがあるはず。すべてを無視することはやめたほうがいい。
どちらかと言えば、まだ説教する上司のほうがいいかもしれない。変にほめてくる上司は、新人のことをコマのひとつにしか思っていない可能性が高い。おだてておいて便利に使い、情勢が変わったらポイっと捨てられる場合もあるからね。
そしてボクのような50代の人間は、若い世代から学ぶ姿勢を持つべき。その気持ちを忘れなければ、ぶざまな『老害』をさらすことはなくなる。試しに何かクリエイティブなことを真剣にやってみるとよくわかる
小説を書いてもいいし、漫画を描いてもいい。絵や音楽でもいい。創作といいうことを真剣にやればやるほど、若い世代の感性に刺激を受けるはず。そしてそこから多くのことを学ぶことができる。年長者だからということに、あぐらをかけなくなる。むしろ歳を取っていることにあせりと羨望を覚える。
そうなれば自然と謙虚な気持ちになれるから、部下に対して感情に任せた説教をすることなんてなくなると思うよ。
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