SOLA TODAY Vol.927
呼吸をしているのは動物だけじゃない。湖も呼吸をしているらしい。ボクは知らなかった。
ところがある湖が呼吸を止めてしまった。それは日本一大きな湖である琵琶湖。
呼吸を止めたマザーレイク。「異常」で片付けるべきではない水と温度の奇妙な関係
京都で生まれ育ったボクにとって、琵琶湖ほどなじみの深い湖はない。京都で暮らす人にとっての水がめであるし、夏には避暑地としての憩いの場でもあった。
ボクは京都府と滋賀県の境界にあたる山科で暮らしていたので、なおさら琵琶湖に親近感を覚えている。小学校生のころに友人たちと自転車で県境を越えて琵琶湖まで走ったことは何度もある。夏の琵琶湖で開催される花火大会は本当に素晴らしくて、いまだにあれ以上の打ち上げ花火を見たことがない。
そんな琵琶湖が呼吸を止めたと聞くと、まるで死んでしまったかのように感じて悲しくなる。
その呼吸は『全循環』と呼ばれているそう。冬になると水温が下がる。凍ってしまうと密度が軽くなるので浮くけれど、4度くらいの冷水だと下に沈んでいくそう。そして温かい水は上昇する。
水面近くの水は酸素をたっぷりと含んでいるので、冬の冷たい水が水底まで酸素を運んでれる。毎年冬になって水面の水が完全に水底まで達することで、酸素が琵琶湖全体に行き渡ることになる。まさに呼吸だよね。
早ければ1月、遅くても3月には『全循環』が起きる。ところが今年は4月になっても発生していない。これから気温が上がる一方だから、おそらく琵琶湖の水底は酸素不足におちいっているとのこと。これを聞くだけで息苦しくなってくる。
その理由は温暖化。去年の夏は記録的な暑さだったので、水温が下がっていない。そのうえ今年の冬は暖冬だったので、十分に湖水が冷えなかったらしい。そして2018年の冬が異常なほどの寒さだったので、水底には冷たい水が残ったままで上昇してこない。だから『全循環』が起きないとのこと。
懸念されるのは生態系への影響。酸素不足は琵琶湖で生きる動植物に影響与える。浄化作用も落ちるので、赤潮のようなものが発生する可能性も高い。結果として琵琶湖の水に依存している人間の生活に悪影響が出る。
人間はただでさえ琵琶湖の環境を破壊してきた。ブラックバス等の外来魚を誰かが持ち込んだことで、ボクが20代のころの30年前でさえ、モロコ等の淡水魚がブラックバスに食い荒らされてしまった。そのうえ温暖化で呼吸停止になってしまえば、本当に琵琶湖は死んでしまうかもしれない。
だからといってボクたちはどうしようもない。温暖化をこれ以上進めないための行動を起こし、できる限り汚れた水を琵琶湖に排水しないように心がけるくらいだろう。だけどそれでさえ、満足に行われていないのが現状かもしれないね。琵琶湖ファンのボクにとって、とても心配になる記事だった。
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