SOLA TODAY Vol.930
『死』の定義がこの先変わるかもしれない。現在でも脳死判定については議論がある。臓器移植という大義名分があるゆえ、ある程度強引に決められた感は拭えない。なぜなら人間の脳について、まだ明確になっていないことが多いから。
数日前、驚くニュースを見た。日本のベンチャー企業が、事故等で損傷した脳機能が回復する薬の臨床試験に成功したというもの。60人に試したところ、リハビリ等による効果をはるかに超える結果が出て、安全で確実な効果が得られたらしい。
厚生労働省では優先的に審査を行い、来年にも販売開始になる見込みとのこと。これだけでもすごいなと思ったけれど、脳に関するもっと驚くニュースが飛び込んできた。
これはマジで驚いた。死後4時間も経過した豚の脳に血液の代わりになる液体を流したところ、脳の機能が一部回復することがアメリカの研究チームによって確認されている。
意識や感覚という脳の高度な機能は復活していない。だけど脳が活動を再開したのは事実。こうなると何をもって死の定義とするのか、大幅な見直しが行われる可能性が出てきた。4時間も経過しているのに復活したのだから、脳死ではないという意見が出てきても不思議ではない。
意識が戻らないことで、『死』を定義づけることもできる。この場合だと脳の機能が回復するだけだから、生き返ったわけじゃない。だとしても脳が復活することを知ると、『死』を受け入れる気持ちがゆらいでしまう。
もし死後4時間も経過して、人間の感覚まで復活したとしよう。だけど一度はシャットダウンしているから、元の人間ではないはず。そうなるとボクの頭にうかぶのは……。
もはやそれはゾンビでしかない。
動物としての本能だけがよみがえってしまうようなことになれば、ゾンビ映画がリアルなものになってしまう。そんな状態になって、『死』を否定できるのかは疑問だと思う。
いますぐどうこうという実験結果ではないけれど、これをきっかけにして脳についての新しい事実が発見されるかもしれない。うまく言語化できないけれど、そう思うだけで不安になって胸がザワザワしてしまうなぁ。
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