ダークサイドが先手だった
囲碁を少しだけ勉強したことがある。ルールを覚えた程度で止まっているので、誰かと勝負できるようなものじゃないけれどね。
囲碁というのは陣取りゲームなので、先手を取ったほうが有利。それゆえ弱い相手は先手の黒石を手にする。その代わり後手には勝負の石目にハンデがある。つまりそれほど先手が勝負を左右するということ。
これは戦争でも同じで、先手必勝という言葉があるくらい。ボクがいま読んでいる壮大な長編物語は、善と悪の戦いになっている。まだ直接的な対決はなかったけれど、ついに戦いが始まった。先手を取ったのは悪魔が支配するダークサイドだった。
『ザ・スタンド Ⅳ』スティーブン・キング著という小説。全部で第5巻まである大長編作品で、ついに第4巻を読了した。第3巻までの内容については、『善は悪をはらみ、悪はより深みへ』というブログに書いているので参照を。
殺人ウィルスによって崩壊したアメリカ合衆国。抗体があって生き残った人は、各自の夢に導かれて東と西に分かれた。東はマザー・アバゲイルという108歳の老女に引き寄せられた善の集団。
西はランドル・フラッグという悪魔の化身に元に集まった人々。まるで日本の関ヶ原の合戦のように、東西対決の様相を見せてきた。第3巻まではそれぞれの陣営の様子が中心だったが、問題が起きていたのは東の善の集団。
悪の集団は恐怖によって統率されている。だから変な意味で治安がいい。ところが善の集団は国家的な政府を持たないので、善良な人が集まりつつも問題が起きていた。なかでも7人の委員に選ばれなかったハロルドという男性は恨みをもち、ダークサイドに落ちる。
もう一人やばい女性がいた。ナディーンという名で、そこそこの年齢だったけれどヴァージンだった。それは幼いころからランドル・フラッグの花嫁となるべく運命づけられていたから。それで無意識に処女を守り通してきた。
だけどナディーンはある男性に言い寄って、処女を捧げることでフラッグの魔の手から逃れようとする。だけどそれは失敗に終わり、彼女も完全にダークサイドへ落ちてしまう。ハロルドとナディーンは善の集団にいながら、恐ろしい計画を実行する。
爆弾を仕掛けて、7人の委員を殺害することだった。それを手みやげにして西へ逃亡するつもりだった。その計画はうまくいくが、事前に気づいた委員たちの機転で5人の委員だけはかろうじて助かる。これはまさにダークサイドの先手だった。
善の集団がこれまで行ったことは、3人のスパイを西に送り込んだだけ。そんな状況で、高齢のマザー・アバゲイルまでが命を落とす。彼女が亡くなる直前の遺言は、残った5人の委員のうち4人の男性に、歩いて、しかも食料等の身の回り品を一切持たずに西のフラッグの元へ行けという神の御告げだった。それしか悪に勝つ方法がないとのこと。
その4人とは、スチューというウィルスの保菌者を最初に見た男。ラリーという元ロック歌手。グレンという元社会学者教授。そしてラルフという元工場労働者の4人。
逃亡したハロルドとナディーンのあとを追うかのように、4人が旅立ったところで第4巻は終わる。いよいよ後手となった善の集団が動き出した。いよいよ次は最終巻。どうなるか楽しみ。実はもう半分くらいは読んでいるんだけれどね〜!
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