目には目を、法には法を
20代のころに税理士事務所で働いていて、いまでも大切にしている教訓がある。
『法律は知っているもん勝ち』ということ!
法律は社会に公平性をもたらすものであるはず。ズルをして儲ける人や、人を殺して罪に問われないということをなくすため。ところがある意味、法律というのは公平じゃない。
違反者を取り締まるものでもあるけれど、自分を助けてくれるものでもある。だけど助けてもらう場合には、自分がその法律を知っていないとダメ。典型的な例が税金の還付申告。
税法上の特例等による還付申告や所得控除は、納税者が申告しないと適用されない。こんな法律があるのでお得ですよ、なんてことを税務署の職員は言ってくれない。逆に適正な申告をせずに定められた税金を納めないと、追徴課税や罰金が課せられる。ひどい場合は逮捕状が出て国税庁の強制捜査を受けることもある。
だからこそ税理士や弁護士という職業が成立する。でも正直言って、税理士や弁護士が完璧だと思わないほうがいい。ボクは税理士業界しか知らないけれど、次々と改正される条文や通達を把握できていない人なんて大勢いる。その結果、顧問先に不利益を与えているかもしれない。
だけど自分がそのことを知らなければ、それで終わり。ややり『法律は知っているもん勝ち』という教訓はゆるぎない。
それでもこんな弁護士なら、安心して任せていいかもしれない。
『ザ・ファーム 法律事務所』という1993年のアメリカ映画を観た。よく知っているタイトルだし、主演はトム・クルーズだから観たと思っていたけれど、完璧な勘違いだった〜w
トム・クルーズ演じるミッチは、ハーバード大学のロースクールを優秀な成績で卒業。引く手あまたで、大手の弁護士事務所が彼を採用しようと必死だった。お金に苦労した苦学生のミッチは、それらのなかでも破格の条件を出したメンフィスの事務所に就職する。
すでに結婚していて、妻は教師をしている。ボストンからは遠く離れることになるけれど、報酬は破格だし、素晴らしい家が用意されているし、ベンツまで提供される。福利厚生も完璧。社会人として順風満帆のスタートに見えた。
ところがどっこい、この事務所はマフィアの配下にあって脱税を指南していた。そのことを知って事務所を辞めようとすると殺されてしまう。自宅は盗聴されていて、少しでも怪しい動きをすれば妻の命だって危ない。そのうえFBIにもマークされていた。
最終的にミッチはFBIに協力することを決めるが、警察の言いなりだと自分は弁護士の資格を失ってしまう。守秘義務に反することになるから。そのうえ事実を暴露することでマフィアにも命を狙われる。証人保護プログラムなんて信用ならない。
そこでミッチは、大逆転の方法を見つける。FBIの希望どおり事務所の役員を刑務所に放り込み、かつマフィアにも恨まれない。さらに自分の弁護士資格も維持されるというもの。
法律によってがんじがらめにされたミッチは、同じ法律によって窮地を脱するという物語。目には目を、法に法をということだね。
とてもよくできたストーリーで、最後までハラハラドキドキしながら観ることができた。トム・クルーズの脇を固めたジーン・ハックマンとエド・ハリスもさすがの演技だった。ホリー・ハンターも良かったなぁ、
勝手に観たと思い込んでいたから、見直すつもりで鑑賞してよかった。トムが若くてカッコいい。とても素晴らしい作品だった。
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