SOLA TODAY Vol.952
マジシャンが心がけているのは、本当に隠したいことを目立たなくさせること。派手なパフォーマンスに観客の意識をフォーカスさせることで、肝心な部分をうまくごまかす。
これは詐欺等の犯罪も同じで、いかにして都合の悪いことをぼやかすかに努力が注がれる。ボクたちが日常的に見ているCMも同じ要素がある。派手な価値を前面に押し出すことで、あまり知られたくないことに意識が向かないようにコントロールされている。
もしかしたらそんな意図があるのかな、と疑いたくなる事実を教えてもらった記事がある。それはパン業界のこと。
普段食べている食パンに、『イーストフード、乳化剤無添加』という印字がされている商品が増えた。それだけで、より安全で健康的な食品であるように感じる。同程度の商品で値段に差がなかったら、そちらを手に取る人が多いだろう。
たしかに有害な食品添加物は存在する。ボクが子供のころには、大きな社会問題となった商品がいくつもあった。だから法律は改正され、昨今では大勢の人が被害にあうようなことはなくなっている。
それでもネットでは添加物の恐怖をあおる人がいて、使用している会社がディスられていることが多い。そうなることを恐れた企業は、マジシャンと同じような方法をとる。イーストフードと乳化剤に関して、まさに手品師と同じようなことが起きている。
そもそもボクはイーストフードについてよく知らなかった。でも無添加と書いてあるだけで、イーストフードが悪者のように感じていた。この記事にくわしく書かれているけれど、それほど忌避するものじゃない。
そしてイーストフードや乳化剤無添加をうたっている食パンであっても、それに見合うものを使っているという事実を知った。イーストフード無添加ということを前面に出したいがために、法的に表示しなくていいものを使用している。安全や健康を意識したのではなく、イメージアップを優先させているだけ。
流通ルートに乗っていない地元のパン屋さんなんかは、普通にイーストフードを使っている。焼きたてでその日に食べてもらうものに関しては、表示する義務がないだけのこと。だから普通に食べている範囲で、健康に影響があるようなものじゃない。
どうもボクたちは雰囲気に流されているように思う。極端に大量摂取でもしない限り、現代においてそれほど危険な食品はない。なのに『無添加』という言葉に踊らされて、異常なほど神経質になっているような気がする。
ボクが子供のころなんて、近所の駄菓子屋ですごいものを食べていた。口の中がオレンジ色に染まるような粉ジュースだったり、派手な色で装飾されたキャンディなんかを平気で食べていた。でもそれが原因で病気になった人なんて聞いたことがない。
まぁそれぞれの自由だけれど、普通に食べたいものを食べればいいと思うけれどな。ボクは食べたいときだったら、スーパーで売っている菓子パンを平気で食べる。添加物なんてまったく気にしていない。そんなことに神経を使うより、食べたいものを食べて楽しい時間を過ごすことのほうが有意義だと思っている。
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