人生は『不変』を探す旅
物質世界で変化しないものはない。同じように見える街の様子も、古い建物が消えて新しいものに変わっていく。昨日久しぶりに行ったマリンピア神戸というアウトレットモールでも、外観は変わらないのにいくつも店舗が入れ替えになっていた。
子猫だったミューナは老猫になったし、そういうボクだって50代になってそれなりに『老い』を感じるようになった。ほんの数分のあいだに誰かがこの世をさり、誰かが産声をあげている。同じことが続くなんて、一瞬たりともありえない。
だからこそ人間は変わらないものを求めようとする。それはとても貴重で得難いものだと思える。無常である現実世界において、人生というのは『不変』を探す旅なのかもしれない。
そんな『不変』を求めて、死にものぐるいで生きた女性の物語を観た。
『風と共に去りぬ』(原題: Gone with the Wind)という1939年のアメリカ映画。ボクはこの映画を数えきれないほど観ている。20代のころにリバイバル上映されたとき、映画館まで行ったことさえある。そして何度観ても、しばらく経つとまた観たくなる。それほど大好きな映画。
超有名な作品なので、説明はいらないよね。ボクはこの物語の主人公であるスカーレットというキャラが大好き。ハッキリ言ってどうしようもなく自分勝手で、他人の気持ちを考えないクソ野郎だと思う。女性なので野郎じゃないかwww
だけどこの映画に感動するのは、彼女の心が『不変』を求めつつ、大いなる変化をとげていくから。アメリカ南部の貴族のお嬢様で、アシュレーを夫にしたいと思っているスカーレット。彼女が最初に求めていた『不変』はアシュレーの愛だった。
だけどアシュレーはいとこのメラニーを選ぶ。それで当てつけで好きでない人と結婚するのがスカーレットという女性。だけどそんな彼女も、南北戦争で変わらざるをえなくなる。ここからがこの映画の醍醐味だよね。
もともと強い女性だから。人生の苦悩に屈しない。「二度と飢えない」と心で誓うと、そのためにはどんなことでもやろうとする。妹の恋人を奪ってまで、両親が残してくれたタラを守ろうとする。偽装結婚なんてへでもない。こういうところがいいんだよね。
スカーレットの心を支えていたのはアシュレーへの愛。それは自分にとって『不変』だと思い込んでいた。レットと3度目の結婚をしていても、まだその『不変』を信じ、そして求めている。
だけどメラニーの死をきっかけにして、それが『不変』ではなかったことを知る。そもそもアシュレーという男がくせ者。スカーレットに気をもたせつつ、妻のメラニーの死によってようやく本音を吐く。スカーレットの妄想が消え去る瞬間だった。
そしてようやく自分がレットを愛していたことに気がつくけれど、ときすでに遅し。レットは『不変』ではなかった。失意のスカーレットがどん底になってようやく見出したのがタラという父祖から受けついた土地。ようやく彼女は『不変』を見つける。人の心とちがって、土地は心変わりしないからね。
変わらないものを必死で求めて、強がって生きているスカーレットがとてもいじらしくて愛らしい。だからこのキャラが好きなんだろうなぁ。
あまりに好きすぎて、原作者以外の人物が書いた『スカーレット』という続編を読んだほど。続編ではレットとのハッピーエンドを迎えている。少し調べみると、レット・バトラーを主人公にした小説が出版されている。さっそく図書館で予約してみようと思っている。
ちなみにボクがスカーレットの次に好きなキャラが、この写真のマミーという黒人女性。この映画にとって、絶対に欠かせない貴重なキャラだと思う。
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