SOLA TODAY Vol.955
この世界に存在しているすべてに意味がある。ボクはそう思う。
物であれ動物や植物であれ、存在している限りは何らかの役割があるはず。だから失われていくものは、その役割を終えたんだと思う。それが自然現象であっても人為的な原因であっても、結果としてそうなったことを受け入れるべきだと考えている。
逆に言えば、必要なものは絶対になくならない。どうにかして存続するはず。
この記事を読んだとき、その意をさらに強くした。
九州大学にしか存在しない生き物がいる。それはカイコ。
この大学では種の保存のためだけに、450種ものカイコを繁殖させている。とんでもない数字だよね。稀少性が高いということで価値はあるけれど、人間にとってはあまり必要性がない。なぜなら病気にかかりやすく、生糸の生産に向かないカイコたちだから。
ところがそのカイコを使って研究を進めていると、すごいことがわかった。450種のうち4種に特定のウィルスを注入すると、ワクチンの原料となる稀少なタンパク質を作ることがわかったとのこと。
驚くことにそのカイコ1頭につき、豚のワクチンを1000頭分も作ることに成功しているそう。ベンチャー企業の手を借りることで、実用化への見通しが立っている。今後は人間用でも、マラリア等の感染症から命を守るワクチンを開発できる可能性がある。
おそらく自然のままなら、淘汰されて絶滅していたカイコの種だと思う。人為的なものだけれど、九州大学の研究者が保存してくれていたからこのような結果につながったのだろう。やはり存在するものは、意味があるんだと強く感じる。
とてもいい話だと思う。だけどボクはこの記事のタイトルにカチンときた。
『役立たず』ってなんやねん!!!
素敵な話題なのに、このタイトルをつけた人の感覚を疑ってしまう。なんて上から目線なんだろう。ボクが最初に書いた『意味がある』という言葉は、この宇宙や地球にとってということ。人間のためだけじゃない。
役に立つかどうかを、人間としての視点だけでとらえていることに嫌悪感を覚えた。そんなボクだから、害獣や害虫という言葉も大嫌い。人間にとって害があるからといって、その種を見下げるような言葉で呼ぶべきじゃない。命に対するリスペクトがなさすぎる。
もしかしたらこの宇宙にとって、人間こそが害獣かもしれないのにね。
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