SOLA TODAY Vol.957
先日、市川海老蔵さんの長女である堀越麗禾ちゃんが、四代目市川ぼたんを襲名すると発表したときの記者会見でのこと。時期的に重なったせいもあるだろうけれど、彼女に対して『母の日をどう過ごされますか?」と訊いた記者がいたそう。
まだ母を亡くしてまもない7歳の女の子に、よくそんな質問ができるよね。ボクはそのインタビュー映像を見ていないけれど、不快に思った人が大勢いたと思う。無神経にもほどがある。
以前から報道記者の不愉快な質問に対する非難の声が、あちこちから聞こえている。インタビューではないけれど、関西ローカルの報道番組でも男女の性別に関する人権無視の行動が批判され、キャスターが生放送で謝罪するような事態になっている。
このような報道姿勢に対して、同じ報道サイドからこんな声があがっている。
保育園児を巻き込んだ滋賀県大津市での悲惨な事故が起きた日、保育園側が記者会見を行った。その際の報道記者の姿勢に対して、多くの批判が寄せられた。ボクも見ていて、かなり不愉快な気分になった。
保育園側が記者会見の場を取ったのは、そうしないといつまでも記者につきまとわれるからだろう。本心でいえば、そんな心の余裕はないはず。保育士だって怪我をして入院しているんだから。
なのにまるで加害者のように保育園側の姿勢を追及するような質問ばかりだった。他者に対する想像力のかけらもない。結果として質問した記者は特定されて、かなりのバッシングを受けたらしい。テレビではだいたいわかるからね。
だけど新聞等に掲載されるときは、質問した記者の社名は公表されていない。これはこうした事故や事件だけでなく、政治や芸能関係の報道でも同じ。この記事はそのような匿名的な報道をやめ、質問した人の社名を公表するべきではないか、と問いかけている。
なぜなら、メディアというのは『権力』であり『プロパガンダ』であるから、という趣旨。報道することによって与える影響を考えると、それはある種の権力になる。そして報道内容を取捨選択することによって、特定の意見を押し付ける。それはプロパガンダであるという意見。
ボクはこの意見に同意する。報道は受け手に強い影響を与えつつ、特定の方向に誘導することが可能。最初から結論ありきで報道している。だから社名を公表して、自分たちの意図を明確にするべき。
だけど記者はこう答えるらしい。「社名を挙げることは取材を萎縮させる」と。
こう答える時点でアカンやろう。事実を捻じ曲げようとしている意図を感じてしまう。客観的な事実を的確に報道するなら、社名を公表することに抵抗はないはず。事実を歪曲させるなんらかの意図があるから、萎縮するなどという言葉が出てくるんだと思う。
社名が公表されていたら、ボクたち受け手もわかりやすい。この会社はこう考えているんだ、と客観的な見方ができる。視点のちがいとして記事の内容を受け取れる。でも匿名だと絶対的な事実にように感じてしまう。
SNSでの匿名性が批判される時代なんだから、報道も自分たちの社名を公表して質問するべきだと思う。
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