SOLA TODAY Vol.958
ボクが中学3年生のとき、タバコを吸っているのが親にバレた。そのときの父の言葉がいまでも強く印象に残っている。
「好きなだけ吸うたらええけど、絶対に火事だけは出すなや」と言って灰皿をくれた。
その理由は、父が消火器の販売や火災報知器の法定点検の会社を経営していたから。消防署から火が出たり、警察署に泥棒が入るようなものだからね。消防設備を扱っている家が火事になったらシャレにならない。その父の感覚はまともだと思う。
ところがそのまともな感覚を持ち合わせていない組織がある。
以前から指摘されていたことだけれど、これは完璧ななブラックジョーク。だけど笑えない。働き方改革を提唱して日本中の企業に呼びかけている厚生労働省において、深夜までの残業が定常化している。
企業に対しては月間で100時間を超える時間外勤務が禁止され、罰則も設けられている。ところが厚生労働省の職員は、余裕で100時間の残業を超えているそう。なかには妊婦なのに深夜3時まで働いている女性がいるらしい。もちろん過労で倒れている人もいる。
特に国会が始まると、こうした過酷な状況が続く。国会における大臣等の答弁に備えるため、24時間体制で臨まなくていけないからだろう。そして官庁の職員を守ってくれる法律もない。
あまり知られていないかもしれないけれど、国家公務員には労働基準法が適用されない。労働法の大元がその法律を守らなくてもいい、という不思議なことになっている。
国家公務員の働き方を規制しているのは、人事院規則というもの。そこではいちおう残業の上限に関する規定があるそう。だけど罰則はないので、絵に描いた餅でしかない。残業の上限が45時間と記されているが、笑うしかない状態。
職員たちが業務の効率化や増員について申し入れても、改善される見込みはないそう。これではどれだけ企業に働き方改革を呼びかけても、まったく説得力がない。
国会運営上仕方ない部分もあると思う。だけど真剣に取り組めば、改善できることはいくつもあるはず。これが民間なら、人件費の削減のために必死になるだろう。このあたりが『親方日の丸』らしさかもしれない。このままウダウダといくんだろうなぁ。
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