SOLA TODAY Vol.962
人間はお尻に火がつくと、リミッターが外れて普段以上の力を発揮することがある。
作家にとって締め切りは、まさにお尻についた火だろう。期限がなければ、いつまでも書いた文章の推敲をくり返してしまう。極端な人なら、締め切り直前にならないと書き始めないこともある。
どうやらそれは業種に限らないらしい。お尻に火がついた人たちが成果をあげた出来事がある。
今年の4月26日。お茶の水女子大学付属中学校の教室に何者かが侵入して、悠仁親王の机にナイフを置くという事件が起きた。一歩間違えば、皇室関係者を狙った暗殺事件になりかねない。
事件から3日後の29日に容疑者が逮捕されている。皇位継承者が狙われた事件だから、警察の威信にかけても犯人は確保されると思っていた。だけどその素早さに少なからず驚いた。かなりの緊張感を持って、猛スピードで捜査が進められたはず。
素人のボクでもそう思うくらいだから、実際の捜査現場はとんでもない緊迫した状態だったらしい。皇位継承と新しい元号のスタートが控えていたから、お祝いムードに水を差すわけにいかない。だから「平成のうちに犯人を逮捕しろ!」という至上命令が出ていたとのこと。
と言っても4月30日の逮捕だと、改元初日にあたる新聞に掲載されてしまう。だから実質的なタイムリミットは29日だった。つまりギリギリで犯人逮捕に成功している。それにはある専門部隊が関わったらしい。
その専門部隊『捜査支援分析センター』、通称『SSBC』という名前で呼ばれている。09年4月に設置された警視庁刑事部の附置機関であり、現在は約120人の捜査員がいる。防犯カメラなどの画像収集、分析のスペシャリスト集団とのこと。
この『SSBC』が防犯カメラの映像を追いかけ、犯人の軌跡をたどった末の逮捕だった。この組織の武器を、記事から抜粋してみよう。
「SSBCは、様々な規格の映像を取り込むことができ、その映像を手配容疑者などの映像と顔照合ができる『撮れ像』と呼ばれる独自の機材を持っています。
さらに、都内のどの場所に民間の防犯カメラがあるかという『防犯カメラ設置データベース』も持っている。これらを駆使し、長谷川容疑者の犯行後の足取り、『後足』を追っていったのです」
なるほどね。このシステムをフル回転させ、さらに『締め切り』に追われていたから、必死のパッチで犯人確保に成功したということらしい。こんな組織があるのを知らなかったから、とても勉強になった。小説のネタになりそう。
他の事件もこれくらい必死で捜査しているはずだよね。お尻に火がついていなくても。そう信じておくことにしよう〜w
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