SOLA TODAY Vol.990
ボクが小学校に入学する前後、めちゃハマっていた遊びがある。それは泥だんご。
いまとちがって京都市山科区(当時は東山区)では、未舗装の道がいたるところにあった。当時住んでいたボクの自宅周辺も田んぼと地道なので、土はどこにでもあった。
小石の混ざっていない土を集めて、近くの小川の水で練る。それを球形のだんご状に丸めて、家の軒下等の冷暗所に保存する。そして定期的に取り出して手で磨き、ツルツルピカピカの泥だんごにして楽しんでいた。
とにかくその遊びを始めると夢中になって時間の世界から逸脱する。たったひとりで何時間でも過ごすことができた。ボクの意識がある種のフロー、あるいはゾーン状態に入っていたんだろうね。現代の都会では未舗装の道を探すことは難しい。だからそんな遊びをする子供はいないだろう。
なぜボクはあれほど土いじりに夢中になったのか? もしかしたらその答えが見つかったかもしれない。
アメリカのコロラド大学の教授が発表した論文によると、「田園地域で家畜とともに育った人のほうがペットのいない都市部で育った人よりもストレスに対して良好な免疫反応を備えている」とのこと。
単に自然と暮らしているという環境面のことだけのことじゃなく、ある細菌に着目することで科学的な要因が導かれている。少し専門的な内容だけれど記事から抜粋してみよう。
『自然の土壌にも含まれる細菌「マイクロバクテリウム・バッカエ」を雄マウスに3回注入したところ、認知機能や不安をつかさどる脳の海馬で抗炎症タンパク質「インターロイキン-4」が増加し、外的ストレスにさらしてもストレス誘導性タンパク質「HMGB1」のレベルは低く、この細菌がストレス耐性を高める可能性があることが示されている』
要するに自然の土に触れることで、細菌によって人間のストレス耐性が高まっているらしい。ちょっとしたストレスではめげないし、癒しの効果もあるということのよう。そういえば農業にたずさわっている人は、根気強い人が多いかもしれない。
人間が病気になる最大の要因は、免疫力が落ちること。そしてその免疫力に悪影響を及ぼすものに強いストレスがある。適度なストレスは必要だろうけれど、心が処理しきれないほどになると免疫力が落ちて風邪をひいたりする。それは人間を休息させようという働きなのかもしれないね。
だからこそメンタルが強いというのは、ある意味貴重な財産だと思う。この研究が進んで土に存在する細菌の効用が確認されたら、ストレスを和らげる自然な物質が抽出できる可能性がある。都会人にとっては朗報かもね。
ただ感覚的な印象だけれど、細菌の効果はあるとしても、土に直接触れることが重要だという気がする。土の感触を両手で感じることに、何か大きな意味があるように思うなぁ。いまのボクが土に触れるのは、年に一度サボテンの土を交換するときだけ。さすがに、泥だんごは無理だよなぁwww
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする