憑依現象?それとも多重人格?
久しぶりに断食をしている。今日が夏至ということもあって、ノリでそうなってしまったw
ダイエットの必要性は感じていないので、ボクにとって断食の効用はたったひとつだけ。それは時間を有効に使えること。
食事に要する時間というのは無視できない。自宅にいるときでも、料理を始めたときから洗い物まで考えると、かなりの時間を要する。その分仕事をしたり映画を観たりという時間に使えるので、今日は有意義に過ごすことができた。
さて、久しぶりに時代小説を読んでいる。ところが普通の時代物じゃなかった。
『この世の春』上巻 宮部みゆき 著という小説。宮部さんはミステリー作家として知られているけれど、そんな範疇にしばられる作家ではない。この作品のような時代小説だけでなく、ファンタジーやホラー作品も多い。
この作品は、まさに宮部ワールドの結実という内容。最初は、江戸時代の太平の世における小藩のお家騒動と恋愛物語、という印象で始まった。ところがすぐに雰囲気が変わった。どちらかといえば、オカルト的な物語展開になってくる。
主人公は多紀という出戻りの若い武家の娘。そしてもうひとりの主人公が重興という若い藩主。ある日貧しい小藩に政変が起きる。家老たちが結束することで、乱心したとされる重興を藩主の別荘に押し込めた。そして別の人間を藩主に立てた。
いわゆる謀反のように思うけれど、重興は本当に乱心していた。幼いころからその傾向があり、藩主となってから異様な行動を取るようになった。少年、女、男という、重興以外の三人の人格を見せるようになった。多重人格と同じで、その誰かになっているときは重興に記憶がない。
実は藩主の交代も、乱心した重興が父親を江戸屋敷で殺したのが理由だった。もちろん幕府には隠されている。重興に別の人格が現れる理由について、過去に藩の重職が行なったある村の惨殺事件が関与している可能性があった。その被害者である3人の霊が、重興に取り憑いているらしい。
多紀は知らなかったが、亡くなった彼の母は霊を呼び出せる家系の娘だった。ゆえに彼女もその血を引いている可能性がある。それで重興を除霊するために、多紀は元藩主が幽閉されている別荘で暮らすことになった。
問題はこれが本当の幽霊によるものか、それとも現在でいうところの解離性障害によるものか、まだ上巻ではわからない。だけどとてつもない陰謀がからんでいるようで、どうも心霊現象の可能性が高い。
時代小説といっても、ホラー、オカルト、そしてミステリー要素満載の作品になっている。もちろん多紀と重興の恋愛物語も期待できるところ。さてさて下巻はどうなっていくのだろう。
いまのところ謎解きが得意なボクでも、明確な答えが見えてこない。それほど完璧に物語が構成されている。だから下巻が気になって仕方ない。今夜からいよいよ真相究明へと近づけるので、いまからワクワクしている。
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