車も人間も『遊び』が必要
人間にとって『遊びごころ』は必要不可欠なものだと思う。人生というものは、真面目に暮らしているはずなのに悲しいことや辛いことが起きる。
必死で努力をしたつもりでも、結果が出なくてへこむこともある。信頼していた仕事相手に裏切られるようなことも起きる。とにかくテンションを下げることに事欠かないのが人生というもの。
だからこそ自動車のハンドルのように、人間にも『遊び』が必要だと思う。なんでもかんでもストレートに反応していたら、周囲の出来事にふりまわされてしまう。心のどこかに『遊びごころ』を持っていることで、ちょっとした余裕ができる。そんな小さなすき間によって、救われることが意外にあると思う。
ボクにとっての『遊びごころ』は、ゲーム感覚かな? 仕事でも他のことでも、心の奥でゲームをやっているという意識をキープしている。雰囲気としてはRPGのゲーム。
仕事で壁を感じても、それを乗り越えようと集中する。そしてどうにかラスボスを倒して、次のステージに行こうとする。その感覚を楽しめることで、深刻なことでもどこかゆとりを持つことができる。なんでもないことだけど、この感覚に助けられていることが多い。
ある映画を観ていて、同じものを感じた。
『ザ・メキシカン』という2001年のアメリカ映画。写真のブラッド・ピットとジュリア・ロバーツが初共演したコメディ作品。久しぶりにマジで笑ってしまう映画だった。
ブラッド・ピットが演じるジェリーは、まるで不運を寄せ集めたようなドジな人物。うっかり信号無視をしたことでマフィアのボスの車に追突して、それが原因でそのボスは逮捕されて刑務所行きになる。
そのことで組織ににらまれたジェリーは、償いとして一定期間を組織のために働くことになる。それでもドジばかりで、ジュリア・ロバーツ演じる恋人のサマンサともうまくいかない。
そんなある日、最後の仕事を命じられる。メキシコへ行って、『メキシカン』という伝説の銃を持ち帰ること。宝石に匹敵するような高価な銃だけれど、隠された逸話があって『呪われた銃』とも呼ばれている。
その銃をめぐって、ジェリーとサマンサが事件に巻き込まれるという物語。とにかくジェリーはドンくさいし、サマンサはブチ切れてばかり。かなり人が死ぬんだけれど、マフィア映画のような深刻な雰囲気がまったくない。なぜならジェリーとサマンサが面白すぎるから。
賛否両論ある映画かもしれないけれど、監督の遊びごころを感じる作品だった。欲をいえばブラッド・ピットとジュリア・ロバーツにもっとからんで欲しかったところかな。それでも二人の演技が上手いので、なかなか楽しい作品に仕上がっている。
深刻なテーマを扱った映画も好きだけれど、たまにはこんな遊びごころ満載の作品もいい。やっぱり人間には『遊び』が必要だからね。
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