病気に勝てない時代が来るかも
やばい! うっかり病原菌に感染できない時代が来るかもしれない。
先日、ゴキブリについてのブログを書いた。彼らは殺虫剤に耐性を持てるよう遺伝子をひと世代で変化させることができる。でもそれはゴキブリだけじゃなく、細菌も同じ性質を持っているらしい。
抗生物質が効く時代はあとわずか……医療を追い詰める耐性菌に反撃せよ
少し長い記事だけれど、かなり恐ろしい内容。ことの始まりは大腸菌。人間にとって大腸菌は必要な存在。だけど体外に出て血液に取り込まれると、人間に死をもたらすものでもある。
最近になって抗生物質に耐性を持つ大腸菌が猛威をふるいつつあるそう。これはゴキブリのパターンと同じで、抗生物質を使えば使うほど、次世代の細菌は耐性を持つことが確認されている。要するに抗生物質が効かない。
こんな恐ろしい数字が出ている。
『米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、主要な抗生物質に対する耐性を持つ細菌または真菌に感染する患者は全米で年間約200万人。うち2万3000人が死亡している』とのこと。
これはおそらく氷山の一角で、数字にあがってこないものを含めるともっと増えるそう。ペニシリン以来100以上の抗生物質が発見されているけれど、使えば使うほど耐性を持つ。それで人間は新しい抗生物質を探すけれど、とてもじゃないけれど追いつかない。勝負は見えている。
記事によると、
『現時点で耐性菌の犠牲になりやすいのは高齢者や体力の弱った患者だが、リスクは広がっている。「膀胱炎や皮膚炎を患う若い患者でも、今は抗生物質を出せない場合がある」と、タフツ医療センター(ボストン)の感染症専門家ヘレン・バウチャーは言う。「このままだと臓器移植も、人工関節置換術などの一般的な手術もできなくなる。みんなが心配するべきだ」』と記されている。
現在の状況では新しい抗生物質を使用すると、1年後には耐性を持つ細菌が検出される。新しい抗生物質を発見しても、人間をあざ笑うかのように細菌たちは進化していく。だから医師たちは抗生物質を使用することにとまどいを覚えているそう。抗生物質は有用な細菌まで殺してしまうので、副作用が無視できない状況になってきたから。
そこでこんな研究が進んでいる。抗生物質で細菌を殺すのではなく、ウィルスに狙い撃ちさせる方法。『毒をもって毒を制す』に近い発想だろう。
『細菌を殺すウイルスはファージ(正式にはバクテリオファージ)と呼ばれる。ファージはタンパク質に包まれた遺伝情報物質で、細菌の細胞膜を突き破って侵入し、相手の遺伝系を乗っ取り、自らを複製・増殖させる。ライリーはまた細菌が抗菌活性のあるタンパク質(バクテリオシン)を産生して仲間をやっつける仕組みも研究している』
このファージやパクテリオシンなら、病原菌だけを殺して有用な細菌を生かすことができる。抗生物質のように耐性を持たれる心配もない。問題は世界的な認知が進んでいないせいで、これらの研究に十分な予算が提供されていないことだそう。
その他にもレーザ光を使った治療なども研究されている。とにかく人間が抗生物質に頼る時代は終わりを迎えつつあるのかもしれない。ただ次の対策が模索中だけに、言い知れない不安を感じるのは事実。
できる限り大きな怪我をしたり感染症にならないよう、いまのところは自衛するしかないんだろうね。
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