投票所の怖さを初めて知った
自分ではなんでもないことでも、別の人は辛く苦しい思いをしていることがある。その人の立場にならないとわからないことは多い。たとえばバリアフリーの必要性を理解しようと思えば、健常者が自ら車イスを経験しないと本質的な問題を感じないだろう。
今月の21日には参議院選挙がある。ボクと妻はすでに期日前投票を済ませている。その投票所が、ある人にとっては恐怖でしかないとのこと。
選挙にいくのが「怖い」と感じる人がいること、知っていますか。
おそらく多くの人は、この記事のタイトルだけでは何が『怖い』のか理解できないだろう。だけど記事を読むと、怖がる人の気持ちがわかると思う。
それはLGBTの人たち、特に性同一性障害で苦しんている人にとって、選挙の投票所ほど恐ろしい場所はない。男性に生まれても心が女性の場合、近年では手術を受けたり見た目だけでも女性として暮らしている人が増えた。でも戸籍まで変更している人はそれほど多くない。
だから投票所で本人確認をされるとき、名簿が男性になっていたら不審に思われる。場合によっては本人かどうかを疑われるだろう。
それはボクたちが想像しているよりはるかに辛いと思う。公衆の面前で隠していた戸籍上の性別をさらされるなんて耐えられないだろう。だから投票に行かないというLGBTの人たちに、選挙へ行くべきだと言えない。
投票所なんて知っている人はいないからええやん、と思う人がいるかもしれない。ところがそうでもない。少し前の選挙のこと。妻と投票所に入ると、よく知っている女性が選挙の立会人をしていた。それは同じマンションに暮らしている人だった。
ボクは選挙管理委員会の仕組みをよく知らないけれど、その女性は公務員でもない。想像だけれど、自治会単位で立会人の依頼があるのかな? とにかくよく知っている人なので驚きつつも、あいさつすることになった。
もしボクが戸籍上は女性だった場合、その人に隠していた事実を知られてしまうことになる。同じマンションの住人だから、顔を合わさないのは無理。そうなると引っ越したくなるよね。
選挙における公平性を推進するならば、このような問題を解決するべきだと思う。そしてその方法は明確。
スマートフォンやパソコンを使ったネット投票を実施するしかないと思う。個人認証システムが確立しているので、技術的には可能なはず。ネット投票が実現すれば、投票率がかつてないほど高くなるのは目に見えている。
だけど難しいだろうなぁ。国会議員のほとんどは組織票に頼っている。それは与党の自民党でも野党の共産党でも同じ。それでおおよその票読みをしている。だけどネット投票になって投票率が上昇すると、選挙の行方がまったく読めなくなる。既得権益者にとってそれほど恐ろしいことはない。
LGBTの人たちが気兼ねなく投票に参加できる日が来るのは、まだまだ遠い未来になりそう。
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