『未来のミライ』微妙だなぁ
京都アニメーションの放火事件は怒りと悲しみしか感じない。ボクは京都で生まれ育ったし、あの第1スタジオがある伏見区の六地蔵付近は、中高生時代に何度も行ったことがある場所。40年近くも前のことだからすっかり変わっているだろうけれど、あの街の空気感は覚えている。
今日午後からNHKの『なつぞら』の録画を見ていても、アニメーターであるヒ広瀬すずさんの仕事シーンで昨日の事件を思い出してしまう。日本のアニメの素晴らしさは、世界中の人が認めている。だから今回の事件は、BBCやCNNでも取り上げられていた。
起きてしまったことはどうしようもない。貴重な人材が失われたことを考えると胸が痛くなるけれど、アニメ界のためにも京都アニメーションがこの困難を乗り切ってくれることを祈るしかない。ボクたちにできることは、作品を通じて応援していくことしないと思う。
偶然なんだけれど、昨日はボクにしては珍しくアニメ映画を観た。京都アニメーションの作品ではないが、なんだか不思議な気持ちだった。
『未来のミライ』という2018年のアニメ映画。アカデミー賞にノミネートされていたのは知っていたので、どんな作品か興味を持っていた。細田守さんの過去作品である『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、そして『バケモノの子』も観ている。だからとても期待していた。
だけど期待はずれだったのは事実。申しわけないないけれど、過去作品とは比べ物にならないと感じた。悲惨な事件があったときだからアニメを応援したい気持ちはある。でも嘘はつけないから、正直な感想を書き残しておこうと思う。
ただしこの作品のコンセプトは大好き。これはボクのツボにはまっている。建築家の父が作った自宅にあるカシの木のある庭にいると、主人公である4歳のくんちゃんが時空を超えた出会いをするという構成は素晴らしい。
このブログにアップした映像の女子高生は生まれたばかりの妹のミライだし、自宅にいる犬は人間化するし、少女時代の母にあったり、まだ若い曾祖父との出会いもある。ボクはこのパターンに弱いので、ついウルウルしてしまった。その出会いを通じてくんちゃんの心が成長するというのもいいと思う。
だけどこの4歳児には終始一貫した物がない。幼児だから当然なんだけれど、映画を観ている人は感情移入できないと思う。この子はあまりに問題が多すぎて、キリがないように思えてしまう。行き当たりばったり感が強すぎて、ちょっとイライラしてしまう。
そしてあえて言えば、このくんちゃんの声は違和感しかない。他の人物の声はバッチリだと思う。ミライ役の黒木華さんはめちゃ良かったし、曾祖父の福山雅治さんなんかめちゃ最高。あの曾祖父なら男でもホレるよなぁ。
だけどくんちゃんの声を演じた上白石萌歌さんは、完全にミスキャストだと思う。彼女の演技が問題なんじゃなくて、この役に選んだ監督の選択がマズかったと思う。最初から最後までくんちゃんの声が気になって、物語に入り込めなかったのは事実。
ボクとしてはコンセプトが気に入っていただけに、かなり残念な気持ちだった。実写映画の俳優さんは声を含めての演技だけれど、アニメだと声の要素がはるかに大きいと思う。だから一度気になってしまうと、かなり辛いんだよねぇ。ちょっと微妙な作品だったというのが正直な感想。
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