淘汰の流れは止められない
ボクのサラリーマン時代は財務や経理関係の仕事が中心だったから、多くの銀行とつきあってきた。30代のころは祇園甲部歌舞練場で働いていたので、主な取引先は都銀だった。祇園の広大な土地を所有していたり、『都をどり』等の興行があることによって、年間で億単位のお金が動くから。
かれこれ20年以上前になるけれど、すでに都銀は未来を見すえていたと思う。行員を大幅に減らし、毎日通うような集金業務は子会社を作ってリストラ対象になりそうな人を出向させていた。だから担当の行員は週に1度くらいしか顔を見せない。稼げないものは正社員でいられないという土壌ができつつあった。
そののち40.代で勤めていた印刷会社は典型的な同族会社の中小企業。だからメインの取引銀行は地銀や信用金庫だった。こちらは都銀とちがって危機感が見られない。いや一部の人は感じていたんだろうけれど、会社の古いシステムが硬直化して動きようがなかったのかも。
あいも変わらずお金を借りてくれそうな顧客を求め、営業マンには厳しいノルマを課す。午後9時ころに事務所で一人残業をしているとき、真っ青な顔でクレジットカードを作ってもらえないかと頭を下げにきた担当の若い行員が気の毒で仕方なかった。
そして令和になって、いよいよ銀行が淘汰される時代が来たように思う。
転職先はLINE、メルカリ、ヤフー…「地銀の雄」からも20代の離職者続出 。現場の仕事に絶望
地銀から20代の離職者が続出しているという記事。ボクにすれば、さもありなん、という感想しかない。マイナス金利が続き、フィンテック企業の台頭で従来の銀行業務は追いやられている。
先日にこのブログでも触れたように、仮想通貨の登場によって金融界は揺れている。Facebookの発行する仮想通貨を潰すため躍起になっている。一方、起業した若い経営者は、開業資金を銀行に頼る必要がなくなってきた。クラウドファンディングで資金を確保している経営者が珍しくない時代になった。
大手の都銀はそんな傾向をずっと以前から自覚していたんだと思う。先ほども書いたように、20年以上も前に従来の業務を見直そうとしていた。だけど地銀や信用金庫は、いまになっても旧態依然とした経営パターンに固執している。その先に待っている世界が、20代の人たちには見えているんだろう。
地銀の離職者の多くが、メルカリやLINE、そしてヤフー等に吸い取られているそう。最近のQRコード決済の動きを見ればわかるよね。新しいシステムを構築しようとしている会社は、銀行業務の知識がある若い人材を求めているんだと思う。
大手の地銀でさえそんな状況だから、これから中小の銀行が淘汰される時代が来る。経営統合くらいならまだマシで、場合によっては倒産ということもあり得るだろう。都銀でさえヤバイ時代になってきたんだからね。金融機関の淘汰の流れは、決して止められないと思う。
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