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高羽そらさんインタビュー

あの世とこの世のけじめ

台風10号の来るのが今日でなくてよかった。なぜなら、今日の16日は京都で五山の送り火があるから。

 

これは花火大会のような種類のイベントではなく、昔から続く大切な宗教行事。お盆に帰ってきた先祖の霊を、無事にあの世へ送り出すためのもの。

 

ボクのような京都で生まれ育った人間には、祇園祭と同じく自分の血肉になっているような行事だと言っていい。この送り火を見ると、いよいよ夏が終わるなといつも感じる。

 

テレビでも中継しているけれど、実際に見るのとはずいぶんちがう。大勢の人がひしめくなかで徐々に火がついていくとき、言葉でうまく言い表せない独特の空気感を覚える。幽玄の世界というのは、こういうことなんだろうなと思う。

 

残念ながら神戸に引っ越してから、直接に送り火を見ていない。夕方から神戸を出て、大勢の人混みにまみれ、終わったあとに満員電車で神戸まで戻ってくる気力と体力がなくなったから。ここ10年ほどは、もっぱらテレビ観戦なんだよね。

 

実際に見てもテレビで鑑賞していても、この送り火について、いつも思うことがある。

 

あのゆらめく炎を見ていると、どこか切なく、物悲しい雰囲気を覚える。それは『送り火』があの世とこの世のけじめだと感じるから。

 

身近な存在を亡くした人は、お盆にその霊を迎えようという気持ちになる。実際に死後世界があるかどうか別にして、お盆のあいだは自宅に帰ってきてくれると心で感じているはず。そしてお盆の飾りをしたり、お墓参りに行ったりする。

 

だけどお盆が終われば、亡くなった人はあの世へ帰る。いつもそばにいて欲しいけれど、住む世界がちがうから仕方ない。五山の送り火や精霊流しの灯りを見つめながら、近しい人が亡くなったことを改めて感じるのだと思う。

 

そして死んだ人の立場も同じだと想像する。お盆であの世から帰省しても、今日の16日には帰らなくてはいけない。空高く舞い上がりながら五山の送り火を見るとき、後ろ髪を引かれるような切ない気持ちになるんじゃないだろうか? 

 

でもそうして送り火を見ることで、自分が死んだことを納得できるんだと思う。この世の未練と手を切り、執着から離れていく。そのことを自分に言い聞かせるのが、五山の送り火のような気がする。

 

送る側、そして送られる側にとっても、あの炎のゆらめきは離れたくないという心の葛藤と共鳴しているはず。そしてやがて炎が消えるとき、双方が自分なりにけじめをつけるんだと思う。

 

そんなことを思いながら、今夜も五山の送り火を見よう。テレビ中継だけれどねwww

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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