先着順で土地が手に入る!
昨日『無知』に関するブログを書いたけれど、知らないことって本当に多い。
『ランドラッシュ』というものを知っているだろうか? ボクは初めて聞いた。
それはアメリカでのこと。1889年4月22日の正午を合図にして、オクラホマで馬にまたがった大勢の人が競争をした。その理由は土地がもらえるから。
アメリカ合衆国が先住民族であるインディアンの土地であったオクラホマの入植を許可した。15ドルの入植手続料を支払ってレースに参加する。そして数字が書かれた旗を見つけ、そこに自分の旗を立てる。そうすれば1人あたり65ヘクタールの土地を無償でもらうことができた。
ところが競争率は高い。さらに不正も横行する。場合によって銃で撃たれる。だからかなり大変なことだったらしい。
そのランドラッシュをクライマックスに持ってきた映画を観た。
『遥かなる大地へ』(原題:Far and Away)という1992年のアメリカ映画。当時はまだ夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンが共演している。
トム・クルーズ演じるジョセフは、アイルランドの貧しい農民。地代を搾取する地主とのトラブルで父を失い、家まで焼かれてしまう。復讐を誓った地主の家にいたのが、ニコール・キッドマン演じるシャノン。彼女はその地主の娘だった。
金持ちだけれど自由に憧れていたシャノンは、ジョセフに持ちかけてアメリカ移住に同行するように勧める。そうすれば広大な土地が手に入るから。そして二人は地主の屋敷を抜け出してアメリカへ向かう。
大金持ちである地主の娘と、一文無しの農民というギャップが面白い。結果として二人は『ランドラッシュ』に参加して、求めていた土地を手に入れるという物語。だけどそこまでの紆余曲折がとても面白かった。
お嬢様だったシャノンは持ってきた財産を奪われ、ジョセフと二人で売春宿に泊まり込んでどん底の生活を始める。多少コメディの要素を交えながら、必死で生きる身分ちがいの二人が、やがて惹かれあっていく過程が面白かった。
主演の二人は若いし、現実ではまだ結婚して2年の新婚さん。だから本当に愛し合っているのが見え見えの二人を鑑賞していると、こちらまで幸せな気分になれた。映画のストーリーもよくできていて、二人の距離が無理なく縮まっていくのが良かったなぁ。
19世紀にこうして大勢の移民の人たちがアメリカにやってきたんだね。その苦労が並大抵ではなかったことが、この映画を観るだけで想像できる。これは日本人にはわかりづらい感覚だろうなぁ。
まぁ結果としてその移住先は、先住民族であるインディアンの人たちを追い出した土地なんだけれどね。明るく描かれている作品だけれど、同時にアメリカの歴史における闇もはらんでいる。本当はもっと複雑な出来事だったんだろうな、と映画を観ながら感じた。
ただ映画としては秀作だったと思う。個人的にはめちゃ若いトーマス・ギブソンが見られてうれしかった。この作品は彼の映画デビュー作なんだね。
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