復讐心に打ち勝つもの
悔しさはモチベーションになる。これはボクの経験として実感している。
せっかく時間をかけて書いた小説がボツになったら、さすがにショックだし悔しい。だけどショックだと思うのは最初だけで、書き続けているとたまったボツ原稿でお風呂が沸かせるほどになるwww
スティーブン・キングが彼の体験を本にしている。『キャリー』でブレイクするまで、彼の書斎には出版社からのボツ通知で書類の山ができていたそう。そもそも『キャリー』の原稿だって、書き始めてダメだと思いゴミ箱に捨てた。それをたまたま彼の妻がゴミ箱から取り出して読み、完成させるように言ったことで日の目を見た。
ボツになれるとショックは減るけれど、悔しさはいつまでも消えない。でもこの悔しさは次の作品へのモチベーションになるのは確実。だから現実をありのままに受け入れ、悔しさから逃げずに向き合うことは大切だと思う。
では悔しさではなく復讐心もモチベーションになるうるだろうか?
悔しさと同じく、人間を動かす動機にはなると思う。ただし復讐心は強烈なパワーを持っていて、特定の相手をターゲットにしている。つまり結果によっては相手の復讐心を誘引することになる。それはさらなる軋轢を生むことになる。
そうなると復讐心に打ち勝つことが必要になってくる。ではどうすればいいのか? そんなことをテーマにした映画を観た。
『アメリカン・アサシン』という2017年のアメリカ映画。スパイアクション映画なんだけれど、あまり知らない作品。だからB級映画の覚悟をしつつ観たけれど、意外にもよくできた作品だった。決してB級映画ではなく、むしろ秀一なスパイ映画だったと思う。
主人公はラップという若い男性。婚約者をテロリストに殺され、1年半をかけてテロリストの組織に潜入する。CIAでさえ接触できなかったテロリストの組織に入り込んだことで、ラップはCIAのエリートとしてスカウトされる。
そしてハーリーという人間に英才教育を受けて、核戦争を起こそうとするテロリストの陰謀を防ごうとする物語。結果としてラップの活躍で、大勢の人の命が救われる。この物語で悪役なのは、同じくハーリーに教育を受けたゴーストという男。
ゴーストの目的は核戦争を起こすだけじゃなく、自分を見捨てたハーリーへの復讐だった。つまり主人公のラップも、悪役のゴーストも、復讐心に突き動かされている。復讐心と復讐心の対決によって、最後に勝利したのはラップだった。
ラップの勝因は、個人的感情に囚われず、復讐心を一瞬忘れて『無の境地』になったこと。その瞬時のちがいだけで、強敵であるゴーストに勝った。モチベーションが復讐心であっても、その囚われから解放されないといつかは負けてしまうということだね。なかなか深いものを感じる結末だった。
この映画の質を高めていたのは、ハーリーを演じたマイケル・キートンの熱演。鬼の指導者であり、かつ闘う男を見事に演じていた。それに反して少し残念だったのが、主人公のラップを演じたディラン・オブライエンという俳優さん。
あまりよく知らないんだけれど、彼にはどこか『華』がないんだよねぇ。アクションもうまいし、演技も素晴らしいと思う。だけどその華のなさが、ちょっとこの映画をもっさりした雰囲気にしてしまったような気がする。
トム・クルーズやダニエル・クレイグのような『華』は求めないけれど、もう少し彼の雰囲気に魅せるものがあったらいいのになぁと思ってしまった。
それでもよくできた映画だった。ただしかなりエグいので、子供に見せるのは無理。殺人シーンがかなりリアルだからね。
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