正規と非正規雇用の壁
同一労働同一賃金というのは、世界的に認められている基本的人権のひとつ。でも悲しいかな、この基本的人権は無視され続けている。
もっとも顕著な無視は男女の賃金格差。以前に比べたら解消されつつあるのかもしれないけれど、いまだに根強く残っている。アメリカなどは人種による格差も存在するだろう。
そして現代社会において憂慮するべき格差は、正規雇用と非正規雇用の大きな壁。この壁を少しでも低くしようとする法律が後追いしているが、その距離は少しも縮まらない。だから合法的に壁を作ることができる。
そしてその大きな壁は、いまや公務員の領域を侵食しつつある。
公務員に非正規雇用が多いのは知っていた。だけどその実態は想像をはるかに超えている。この記事をざっと読んだだけで、マジで大変なことになっていると痛感させられた。
ここでも紹介されているけれど、子供の命を守るはずの児童相談所の担当者の多くが非正規雇用らしい。臨床心理士の資格を持ち、大学で博士号を取得しているような人でも非正規雇用で働いている。
つまりその人の能力うんぬんの問題ではなく、自治体に人件費をまかなうだけの予算が組めないということ。それほどせっぱ詰まっている。子供の命を守る仕事なのに、年間の残業時間が500時間を超えても手取りは月額16万円。そりゃやめる人が増えるのは当然だろう。
総務省の調査によると、非正規雇用は2005年には約34万3000人と全職員の２割ほどだった。しかしそれから10年余り経った2016年には約48万8000人。比率は３割を超え、３人に１人近くが非正規雇用となっているそう。
なかには職員の半分以上が非正規雇用という職場も急増している。給料は低いし、産休や看護休暇というものも享受できない。いつ契約を切られるかという不安を抱えながら働き続けなくてはいけない。
こうした非正規雇用の人に限って、地域の住民たちと接する仕事が多い。だから自然災害等で避難所に住民が集まっても、その場にいる職員は普段からなじみのない正規雇用の人だけ。だから行き届いた対応ができないということも発生しているらしい。
なんとか労働法の改正でその壁をなくそうとしているが、いまのところは焼け石に水。予算のない自治体や企業の経営者にすれば、『無い袖は振れない』と開き直るしかないのだろう。
一番手っ取り早いのは、各自治体の議員数を削減すること。どこかの自治体の議員のように、架空の出張等で税金をネコババしているような議員は必要ない。そしてもっと議員報酬を減額するべき。それだけでもかなりの費用を削減できると思うんだけれどね。
でもそれを決めるのが議員だから、自分たちに不利になることを決めるわけがない。あえて報酬を減額したり、退職金を辞退するような気概のある市長や知事もいる。だけどほんの数人だからね。とてもじゃないけれど非正規雇用の壁が消えることはなさそう。
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